【第102回技術ゼミナールを東京で開催致しました】
日時:2016年4月14日(木)、15日(金)
場所:東京ガーデンパレス
2016年4月14日(木)、15日(金)の両日にわたり、東京ガーデンパレス(東京都文京区)において、第102回技術ゼミナールを開催致しました。
※記事の最後に、アンケートにありましたご質問にお答えしております※

ゼミナールに先立ち、山下保美副会長(㈱ジャパンファーム)より、
「今、毎日のようにTPPやグローバルといった言葉が出ていますが、これは日本で競争していたのが世界競争になりましたよ、というスタートラインです。その時に我々の業界にどういった武器があるかを考えると、日本人の持つ強みは何か、というのが軸足になる気がします。我々の業界が世界で競争力があるか、私個人としてはあると思っています。」
と、まずTPPに関する現状について触れられ、続けて、
「エビアジェンが4年先、5年先の目標数値を開示しましたが、これは凄いことだと思います。現状、いろいろなものが不透明な中で、将来を指し示し、目標とする値がある。今のブロイラーは精密機械のような精度を必要としますが、それも含めて、日本人の気質にはあっていると思います。先月の農林水産大臣の記者会見では、産業競争力強化法という法律をもって、国が業界に光を当てて、分析を行い、その業界がそれにあわせて様々な対策を立て、競争力を高める、という旨の話がありました。餌の業界で為替や原料レートなど、不透明なことも多くありますが、国の、そして業界の船で国際競争していこう、という1つの表現をしたということです。日本チャンキーでも、現場に力を入れようということで、エビアジェンの持つ能力を現場に落とし込み、我々日本の現場の指導も強くなれば、と思います。生産性とコスト競争という意味では、まだまだ日本はやれることがたくさんあるし、競争力があると思います。

続いて、鶏病の話ですが、事前処理と事後処理とに分けるとわかりやすいと思います。12年前にAIが日本に上陸しました。それから様々な経験を得て、日本はAIに対する対応力も制御力も世界のトップレベルにあると思います。昨年のアメリカでの事例では、対応が遅れたことによって拡大したというような情報を聞くにつけても、事後処理という意味では非常に高いレベルにあると思います。事前処理というふうに考えると、将来はニューカッスル病と同じようにワクチンでコントロール出来る世界になって欲しいと思っています。EUでは、良いワクチンが出来、淘汰と併用して使うことがエネルギー的にも経済的にも有効な手段だ、ということを、最近は表現するようになりましたが、我々の業界も、将来的にはそういった幅広い世界を作っていただきたいと思います。

また、2030年には、日本の人口は1億人を切るというデータがあります。少子高齢化というのは避けて通れない問題です。政府には畜産物の輸出促進のための協議会が作られています。我々チキンの業界では日本食鳥協会が中心となって、輸出に関して協議しています。先日、香港で普及・セミナー活動に行き、かなり良い評価を得てきたという情報がありますが、和食の安心・安全、そして、日本の「おいしい」という味が1つのキーワードになると思います。大いに期待したいと思います。
大きくみると、競争力も、鶏病に対する対応も、そして食品の輸出促進についても、国と業界が一緒になって取り組んでいるのが日本の強みかと感じます。もともと資源のない国ですから、知恵をお金に変えて食べてきた民族です。今日と明日、様々な情報や知識が出されるかと思いますが、これを知恵に変えて、皆様方の会社に帰ってお金に換えることが出来たら、協会としては非常に嬉しいことと思います。」と挨拶されました。

1日目・2日目のプログラムを滞りなく終了し、最後に山上祐一郎 種鶏孵卵部会長(㈱福田種鶏場)より、
「皆様も昨夜テレビをつけて驚かれたのではないかと思いますが、昨夜21時26分、熊本県で震度7の大地震が起こりました。震度7といいますと、国内ではあの東日本大震災以来で、九州では観測史上初めてのことだそうです。余震もまだ続いており、救援活動も続けられているようです。被害の全貌はまだ明らかになっていませんが、九州は我々の業界におきましても一大生産拠点です。業界関係者の皆様、当協会の会員の皆様のご無事と、営業活動に支障がないことをお祈り申し上げたいと思います。」
と、ゼミ期間中に発生した熊本大地震について触れられ、続けて、
「今回のプログラムの中では、エビアジェン社より筋肉変性について興味深い情報提供があったと思います。筋肉変性というのは、チャンキー種のみならず他鶏種も含めた高増体ブロイラーにおいて、世界中で問題になりつつあるようです。日本の業界にとっても脅威になるのでは、と心配しておりましたが、エビアジェン社が既に問題に気づき、2012年から育種改良項目に取り入れていると聞き、少し安心致しました。育種の効果がブロイラーに反映されるのにはおよそ5年かかりますけども、2012年に始めた改良が来年、再来年辺りに、筋肉の変性について改善されるという結果で現れることを期待したいと思っております。

いよいよUSヒナの餌付けが始まっている中で、今後何よりも大切になるのは、現場の力なのではないかと思っております。ここにお集まりの皆様には少しでも多く、現場に足を運んでいただき、生のUSチャンキーを見て、感じて、アクションを取っていただきたいと思っております。そういった方々こそ、パソコンを離れて、今まで以上に現場の方へ足を運んでいただき、USチャンキーを見ていただきたい。その上で最適な対応策を練っていただければ、と考えています。
海外では、生産者の心構えのことをストックマンシップという言葉で表しますけれども、是非ここにお集まりの皆様も、ストックマンシップに則ったUSチャンキーヒナの受け取りのほど、宜しくお願いしたいと思います。

このゼミでは、その他にもネズミの駆除対策、それからブロイラー実績の報告、アトランタ視察報告など、有益な講演が盛りだくさんでした。皆様には、この二日間でこなした貴重な情報をそれぞれの会社に持ち帰っていただき、是非現場での実績に役立てていただければ幸いです。」
と挨拶され、全日程を終了致しました。

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本ゼミナール 講演プログラムは以下の通り。

【第102回技術ゼミナールプログラム】
●第一日(4月14日)    司会:波多野 和広氏/日清丸紅飼料㈱
1. 開会の挨拶    日本チャンキー協会/副会長 山下 保美氏
2. 講演「日本におけるロス308の成績推移」 エビアジェン社/ビル・サウザー氏
3. 講演「モダンブロイラーにおける筋肉変性」 エビアジェン社/ヤン・ホー・ホン氏
4. 報告「USチャンキー情報」   ㈱日本チャンキー/河合 泰典氏

●第二日(4月15日)    司会:小笠原 一夫氏/㈱松本鶏園
1. 報告「ネズミ駆除対策」
㈱防除研究所/田辺 篤志氏
エランコジャパン㈱/山本 喜康氏
共立製薬㈱/山﨑 世使子氏
2. 報告「ブロイラー実績調査2016」  ㈱日本チャンキー/西村 薫久氏
3. 報告「JCAミッション報告」  ㈱十文字チキンカンパニー/岡本 花子氏
4. アンケート調査実施
5. 閉会の挨拶     日本チャンキー協会/種鶏孵卵部会長 山上 祐一郎氏

※掲載準備出来たものから順に、テキスト内容をご紹介して参ります(一部を除く)。

この度は、4月という年度替わりのご多忙の時期にも関わらず、約290名の皆様にご参加頂きましたこと、御礼申し上げます。
次回、技術ゼミナールは9月8日、9日に仙台で予定しております。

最後になりましたが、この未曾有の震災に際しまして、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

以上

終了時のアンケートにご質問がありましたので コチラ に掲載致しました。
※質問5.「筋肉変性」についての資料は コチラ からご覧頂けます。