【第43回日本チャンキー協会 通常総会を札幌で開催致しました】
日時:2015年5月27日(水)
場所:ホテルライフォート札幌

2015年5月27日(水)に、ホテルライフォート札幌(北海道・札幌市)において
第43回日本チャンキー 通常総会を開催致しました。

総会の冒頭に、永井賢一会長(日本ホワイトファーム㈱代表取締役社長)は、
「昨年度は、年末から国内で鳥インフルエンザの発生がありましたが、なんとか散発的な発生で終わることが出来ました。対象になられた会社の方々、非常に大変だったと思いますが、行政の素早い対応をもって非常に短期間で清浄化することが出来ました。影響を最小限で食い止めたことは非常に良かったことであり、また今後 鳥インフルエンザが発生した場合の良きサンプルになったことではないかと思います。
日本では収束しましたが、実際には韓国も台湾もまだ完全には終わっていませんし、アメリカでは非常に広範囲に渡って発生しています。また、東南アジアでは季節を問わず、一年中発生しているのが事実です。協会の皆さんには、引き続き防疫体制の強化維持をお願いします。会長挨拶
先日、宮崎県のある講演で、各国の方々から日本が5例で食い止める、あるいは終わらせたことに対して、非常に高い評価を頂いていると聴きました。これは、農林水産省の方の話ですが、それはやはり早期通報、早期淘汰の体制を取っているからだそうです。
海外での事例を聴きますと、まず早期通報の体制が取れていない国が多いと聞きました。韓国あたりでは、例えば1農場の中で鳥インフルエンザの発生があれば、その農場全体を淘汰するのではなく、その農場の中の該当する鶏舎を淘汰するそうです。そうするとウイルスはそこに残ってしまいます。それ以外にも、運搬の方法等にも問題があると聞いています。アメリカは防疫体制が厳しいと思っていたのですが、日本では報告する基準があるのに対して、はっきりした基準がなく、1つの農場で数羽や数十羽ではなく、数百羽の単位まで報告しない、という事例があるようです。また、中国においては、正確な情報等が上がらず、把握が出来ていません。斃死し始めたら出荷してしまい、跡形もなく分からないのが実情です。日本は、しっかりとした早期通報、または防疫体制の強化で、もし鳥インフルエンザが発生しても、過度に広がっていかない体制を維持していけるのではと思います。これは日頃、きちっと取り決められたこと、法律をしっかり守ることで達成出来ると思います。

私は、日本のブロイラーに国内の優位性があることというのは、生であること、それと日本産であることの2つかないと思っています。それ以外では、海外の方が間違いなく優位性があると思います。規格にしても、日本ではなかなか出来ないような細かなサイジングをします。
これからTPPがどうなっていくのかは分かりませんが、エサは少なくとも原料がほぼ100%輸入のものを使わざるを得ません。いくら飼料米を作るという政策が進んでいったとしても、現実的にはマッチングが出来ておらず、利用することが出来ません。価格的にも、飼料米はまだ非常に高いものしか出来ていないのが現実です。国内での争いよりも、対・海外ということを考えますと、我々のブロイラー業界としては、限りなく飼料費を下げていくことが最も大事なことではないかと思っています。

種鶏から孵卵、ブロイラー、工場を含めて、最もかかる経費がエサ代ということになりますので、よりFCRの追求をしていくことが、コストを下げていく道だと考えて、私は会社の運営をしております。そうなると、今の50日に近い日令は非常に難しいのではないかと思います。また、本来我々の作っているムネ肉・モモ肉の大きさは、消費者の観点からすれば、希望に添わないものであると思われます。主婦たちが調理に困るようなサイズの肉を提供している、それが成り立つのが日本のブロイラー産業だと思います。
私は本来、消費者が使いやすいサイズの商品に、将来的にしていくべきという気がします。そのサイジングは非常に難しいですが、そういう世界にいずれ入って行かざるを得ないという気がしています。そうすると、当然ながら出荷日令も若くなり、重量が減る分、肉の生産性も下がり、羽数を多く作らないといけないという、非常に難しい局面を迎えるかもしれません。作り手だけでなく、買う側のことを考えた商品作りで国内産のアピールをし、その価値を認めて頂けるように業界全体が努力することが必要だという気がします。
やはり、対・海外ということを考える必要があると思いますが、現状のチャンキーの成績には目覚ましいものがあり、相当なスピードで改善をされているのも事実です。更に成績向上していくのか、現状がピークなのかは分かりませんが、業界としては、当然ながら成績の向上を求めたいと思っているはずです。日本チャンキーには、更に性能が高くなるべく、また成績が思うように出ないという鶏にならないよう、育種改良をしっかりとして頂きたいと思います。」と挨拶されました。

会長挨拶のあと、会長が議長となり、総会議案1号~4号までの全ての議案が滞りなく審議、可決されました。
また、会員・部会委員の異動の報告事項は下記の通り(敬称略)。総会
【新規入会】
・ニイブロ㈱
・㈱久留米孵卵場
【名称変更】
・山内飼料㈱ → ㈱熊本チキン
・貞光食糧工業㈲ → 貞光食糧工業㈱
【部会委員の異動】
・種鶏孵卵部会
宮古 厚博氏(プライフーズ㈱) → 小林 隆志氏(プライフーズ㈱)
・ブロイラー部会
吉川 透氏(宮崎くみあいチキンフーズ㈱) → 江崎 聡氏(宮崎くみあいチキンフーズ㈱)
畠山 知己氏(日清丸紅飼料㈱) → 大村 勇介氏(日清丸紅飼料㈱)
森川 敦夫氏(㈱日本チャンキー) → 河合 泰典氏(㈱日本チャンキー)

今回の総会にて、優良会員として表彰された方々は以下の通りです(敬称略)。

●種鶏孵卵部会
育成率の部   ㈱福島エンヤ 99.30%
生存率の部   日本ホワイトファーム㈱知床事業所 98.51%
ヘンハウス産卵数の部  ㈱松本鶏園  216.63個
ピーク産卵の部 ㈱ウェルファムフーズ 霧島事業所 94.47%
産卵持続の部  ㈱松本鶏園  21週間
孵化成績の部  日本ホワイトファーム㈱宮崎事業所 88.80%
努力賞     ㈲松尾孵卵場  22.51
優秀賞     プライフーズ㈱ 160.80
㈲田中ファーム 157.85
最優秀賞    日本ホワイトファーム㈱ 167.28

●ブロイラー部会(上段:開放鶏舎 下段:ウインドレス鶏舎)

《部門賞:年間成績》
日増体の部   ㈲松尾孵卵場    正木農場 70.16g
㈱あべはんファーム 高田 啓介 67.62g
出荷率の部   ㈲松尾孵卵場   富熊農場 98.34%
㈱一宮家禽孵卵場 田村農場 98.16%
飼料要求率の部 ㈱あべはんファーム 後反農場  1.669
㈱あべはんファーム 高田 啓介 1.675
坪産肉の部(中抜き有り) プライフーズ㈱ 関端農場 169.03kg
プライフーズ㈱ 風張農場 204.58kg
坪産肉の部(中抜きなし) ㈱エビス商事 久保農場  183.42kg
日本ホワイトファーム㈱知床事業所 CS-12農場 192.07kg
生産指数の部  ㈲松尾孵卵場 石原農場 398.61
㈱あべはんファーム 高田 啓介 393.76
改善点     山内飼料㈱ ラナファーム㈱ 豊後農場 44.8
㈱イシイ  41.1

《部門賞:単一鶏群成績》
日増体の部   ㈱あべはんファーム  原 広子 72.28g
内外食品㈱  仲田農場 73.30g
出荷率の部   宮崎くみあいチキンフーズ㈱ 須志原 強 99.30%
㈱一宮家禽孵卵場 朝来第一農場 99.51%
飼料要求率の部 ㈱あべはんファーム 原 広子  1.600
㈱あべはんファーム 高田 啓介 1.635
生産指数の部  ㈱あべはんファーム 原 広子  447.56
㈱あべはんファーム 三浦 利章 406.45
優秀賞     ㈱あべはんファーム 553.28
最優秀賞    日本ホワイトファーム㈱ 561.39

◆受賞会員と成績はコチラ

表彰後、㈱日本チャンキーの西村薫久氏より、「種鶏、ブロイラーの実績調査まとめ」の演題にて、今回の実績調査結果について報告しました。講演

最後に、㈱日本チャンキー・森永浩二社長が、「昨年の総会からの一年間を振り返ると、昨年の12月そして1月に、国内で鳥インフルエンザが発生しました。ただ、生産者の早期の通報、そして関係当局の非常に柔軟な対応で、その影響は最小限に踏み止められました。その後は発生もなく、OIEの基準に基づいて、4月24日に清浄国に復帰したのはご周知の通りです。
当社、日本チャンキーが原種鶏の雛を輸入している英国でも、昨年の11月に鳥インフルエンザが発生しています。その後発生もなく、今年の2月19日になって清浄化が確認され、生きた家禽の輸入が英国の一部を除いてですが、再開されました。但し、この5月になっても、アジアの近隣諸国で絶え間なく鳥インフルエンザが発生しています。
2014年度の統計だけでも、世界35カ国で鳥インフルエンザが発生したと報告があります。これを鑑みますと、従来病だけでなくて、いつどこで鳥インフルエンザが発生するかと懸念される事態になっています。
こういう事態になると、鳥インフルエンザを発生させないという、常日頃からの防疫管理とともに、日本チャンキーとしては、諸外国の発生状況を常に踏まえた上で、いかなる状況下でも種鶏の安定した供給を確保する。このためのリスク管理がますます重要になっている、ということを思い知らされた一年だったと思います。
具体的に、このインフルエンザのリスク回避としては、大いに有効と考えられる策として、3月25日に農林水産省の食糧農業農村政策審議会、家畜衛生部会で、英国から要請のあったコンパートメント主義を認めることが適当であると言われております。英国内で鳥インフルエンザあるいはニューカッスルが発生した場合でも、厳格に定められた標準作業手順書に基づき、平時から高度なバイオセキュリティ対策を講じている家畜育種企業をコンパートメント、その企業の各施設をコンパートメント施設として認定して、その施設からの家禽の安定した輸出を可能とするスキームを、世界に先駆けて構築しております。英国当局が認定したコンパートメント企業、あるいはその施設からの種鶏初生雛の輸入に対して、専門家を交えた結果、これを認めることが適当であるという結果となりました。
今後は、英国と日本の間で必要な手続きのもと、コンパートメント主義の最終的な認可、実施の運びと予測されますが、認可実施の運びになれば、今後英国での高病原性鳥インフルエンザ、そして低病原性鳥インフルエンザの発生において、英国のスキームに基づいて英国当局が認定し、かつ日本当局が認定したコンパートメント、およびその施設からは、一定の条件下で日本が輸入を認めるということになります。
現在、このスキームで認定されているコンパートメント施設は、英国ではチャンキーの輸出元であるエビアジェン社だけです。そのエビアジェン社の、エリートストック農場が15、原原種鶏農場が17、原種鶏農場が22、孵卵場が2、そして集卵施設の57施設のみが現在認定されています。

日本の農林水産省には、2013年3月に英国からこの要請がありました。日本が肉用原種鶏の9割を英国に依存している状況を考えた上で、海外からの種鶏輸入を安定化させる、食糧安定供給の観点から、同じ年度内で日本の農林水産省の方がエビアジェン社の施設に現地視察を行っています。その現地視察の結果を踏まえた上で、家禽の伝染性疾病の侵入防止のための、十分なリスク管理、並びに一連の作業全てが的確に、かつ非常に迅速に実施されることを確認し、関係各位は大いに評価しました。
今回は、英国から輸入停止措置の間、日本チャンキーとしては代替として、米国の雛を輸入しました。このコンパートメントの仕組みが正式に認可されたのち、英国の種鶏の安定供給に大きな柱が出来たということになると思います。

このチャンキー協会で、4月大阪にて、第100回目の技術ゼミが開催されました。今までで最大の300名を超える会員をお招きし、過去の歴史を振り返りました。その中で、鶏の性能向上のために、各種セミナーを執り行ったり、会員間の共同教育・交流など実施したことで、会員各社および協会全体の発展に寄与、貢献出来たのではと思いました。

そして、2014年度実績調査の結果では、ほとんど全ての項目で改善が進んで、ブロイラーでは、全国平均でPS330ポイントに達し、2012年度に発表したエビアジェン社の数値よりも、増体・FCRともに上回っていることが報告されています。
育種会社であるエビアジェン社では、4,5年後の更なる性能改善という発表がありました。成績優良会社の野外事例の実績発表を聞きますと、種鶏・ブロイラーともに現在のチャンキー種であっても、その潜在能力をまだ秘めていることが明らかになったことが、100回という節目以上に、非常に印象に残っています。飼料効率が良く、栄養面では高タンパクでありながら脂質は牛豚と比べると非常に少なく、健康志向ブームに合致しているというブロイラーが、動物タンパクの供給源として、日本だけでなく、世界中で注目されています。
この3月に、農林水産省の機関である農林水産政策研究所では、常に10年後の世界の食糧の需給と供給の予測をしています。2024年における世界の食糧需給の見通しは、アジア地域では現在鶏肉が120万トン輸入されているが、2024年度では4倍以上の510万トンという輸入の予測がされています。
TPP交渉の骨格がまだ最終ではありませんが、少しずつ見えてきた現在で、日本国内のブロイラー産業の位置づけが、日本では国産の食肉教育の柱として、相対的にますます重要になっているのでは、と思います。皆様方におかれましても、重要度の増す国内ブロイラー産業の基盤の、ますますの貢献のために、安定供給が可能で、かつ性能が良く、その上で性能改善が約束されているチャンキー種を、更にご愛顧頂きまして、日本の食肉産業の要であるブロイラー産業を支えて頂きたいと思います」と挨拶しました。

その後、幸南食糧㈱代表取締役会長の川西修氏より、「ちょっとの気づきで企業も人も変われる」の題目で講演され、無事終了致しました。講演後、お部屋に戻られる皆様は、笑顔でにこやかに握手を交わされていました。
以上