【第101回技術ゼミナールを福岡で開催致しました】
日時:2015年9月9日(水)、10日(木)
場所:タカクラホテル福岡
2015年9月9日(水)、10日(木)の両日にわたり、タカクラホテル福岡(福岡県福岡市)において、第101回技術ゼミナールを開催致しました。
※記事の最後に、アンケートにありましたご質問にお答えしております※

ゼミナールに先立ち、永井賢一会長(日本ホワイトファーム㈱代表取締役社長)より、「皆さんもご存じだと思いますが、イギリスとのコンパートメントの件が遅れており、今回、また次回の原種鶏の導入がアメリカからということが決まっています。これは、国と国との問題で、日本政府も非常に一生懸命やっているのですが、両国間でまだ合意が得られていない状況です。いつ頃から、という検討にまで至っていないことを考慮すると、当面USチャンキーを相当量飼育しなければならない事態になろうと思います。が、そこは、新しい情報が入り次第、日本チャンキーから随時公開していくとのことです」と、まずコンパートメントの現状について触れ、続けて、t_101_2
「どの鶏種であっても、我々日本のブロイラー業界は、肥育技術を確立することが、本当は大事だと思っています。現在のブロイラーの総生産量が6億7千万羽、これが将来7億羽になっていくのか、6億羽になるのか予測がつきませんが、6億羽に下がってはいけないと考えています。
売り場では、国産の鶏肉を非常に必要としています。先日、業界の方とお話しした時に、『現状、国産鶏肉を供給しなければ、国産豚肉が不足している中、売り場をまかなうことができません』と言われました。つまり、国産鶏肉がなければ輸入の豚肉が店頭に並ぶ、ということです。輸入の豚肉は冷凍ばかりではなく、チルドでも入ってきており、それに現在置き換わりつつあります。今、なんとか商品を確保しないと、将来的に売り場を失っていき、挽回するには相当時間がかかります。

AIや、東北での震災時に、ブラジルのもも肉が店頭の売り場を占めるようになった時がありました。そして、その商品は未だゼロにはなっていません。以前よりは少なくなってはいるものの、しっかりと売り場を確保しています。その分、何がなくなったかというと、それ以外の畜種・国産鶏肉の売り場がなくなりました。本来は国産の鶏が並んでいるところが、確保できていない状況です。これは、今日明日を考えると、あまりどういうことはないことかもしれませんが、1年後2年後、あるいは5年後10年後を考えると、好ましいことではないだろうと思っています。生産量をすぐに上げることは難しいことだと思いますが、国内の生産部門の方、また処理をする方々は、日々の管理の中で現状に甘んじることなく、最大限、肉の生産量を上げておかないと、あとで痛い目を見ることになるのではないでしょうか。

チャンキーの成績に関しては、今年辺りは成績の限界点を迎えているのではないかと思っていましたが、実際は、前年同月比を見ても、現在も成績が伸び続けており、チャンキー種と、当然ながら皆さんの素晴らしい飼育技術の賜物と思っています。TPPは不明瞭な状況ですが、国内の我々の使命は、しっかりと成績を確保して、いかに低コストで生産するかということであり、現状の生産量を少なくとも確保することが必要だろうと考えています。t_101_1

今回は、日本チャンキーからの報告、野外事例報告があります。皆さん、いろんな情報をしっかり吸収して頂いて、これからのブロイラーの更なる成績向上と、品質の確保、安定した国内市場への供給につなげて頂きたいと思います」と挨拶しました。

1日目・2日目のプログラムを滞りなく終了し、最後に神田謙一ブロイラー部会長(住田フーズ㈱常務取締役)より、「昨今の畜産の情勢は、畜産関係・ブロイラーも、牛豚卵も含めて好相場という、今までにない状況です。こういう状況ではあるが、これに甘んじることなく、逆に蓄えられるところは蓄え、チャンキー種の育種改良が進んでいくことに、ハード面・ソフト面含めて対応していかなければなりません。今日の講演で、小野寺さんから『やればできる、やることをしっかりやっていけば、自ずと結果がついてくる』と頂きました。まさにその通りで、会社組織それぞれ、皆さんのやるべきことをやっていけば、結果がついてくると思っております。
今日、橋本先生からアメリカのAI関係の話も頂きましたが、季節は関係ないとはいえ、これから時期的にウィルスにとっては動きやすい時期になります。そういう部分では、防疫体制、バイオセキュリティの再確認をして頂きながら、国内でのAI発生を防いでいくということは、会員、そして結果として皆さんの幸せに繋がるだろうと思っています。
ぜひ、今回のゼミの内容を各社に持ち帰って、参考にして頂きながら、更なる発展に繋がればと思っています」と挨拶され、全日程を終了致しました。

本ゼミナール 講演プログラムは以下の通り。

【第101回技術ゼミナールプログラム】
●第一日(9月9日)       司会:大脇 秀吉氏/㈱山形種鶏場
1.開会の挨拶        日本チャンキー協会/会長 永井 賢一氏
2.講演「受精率維持のためのオス管理 」 エビアジェン社/ラリー・ブラックストーン氏
3.報告「日本チャンキーから報告」    ㈱日本チャンキー/山﨑 修二氏
4.報告「技術情報~種鶏メス脚弱対応およびUSチャンキー種鶏について」 ㈱日本チャンキー/西村 薫久氏

●第二日(9月10日)      司会:冨谷 学氏/㈱ウェルファムフーズ
1.報告「野外事例」
○種鶏:㈲松尾孵卵場/松尾 秀隆氏
○ブロイラー:㈱十文字チキンカンパニー/辻山ファーム 小野寺 修氏
2.討論会「ワクチンプログラムと鶏病対策」
1)基調講演
2)各社実情報告
3)パネルディスカッション
パネリスト:
㈱ウェルファムフーズ 橋本 信一郎氏
㈱十文字チキンカンパニー 木原 了氏
住田フーズ㈱      神田 謙一氏
日本ホワイトファーム㈱ 中村 賢司氏
㈱松本鶏園       甲斐 光夫氏
㈱日本チャンキー    大槻 敏章氏
3.アンケート調査実施
4.閉会の挨拶            日本チャンキー協会/ブロイラー部会長 神田 謙一氏
パネルディスカッション
以上

終了時のアンケートにご質問がありましたのでコチラに回答を掲載致しました。