去る6月1日(水)、青森県八戸市の八戸パークホテルにおいて、第39回通常総会が行われました。

 3・11の東日本大震災の被災地での開催は、岩手県に会社がある十文字会長の強い要望でもあり、会員各社は、八戸市はもとより、被災された地域、そこで生活をされている方々、また会社が力強く復興されることを心より祈念して、全国より参加されました。

 総会の冒頭、十文字会長(㈱十文字チキンカンパニー社長)は、「新幹線が南は鹿児島、北は青森まで伸び、今回は八戸に来ていただくことにした。八戸には、鹿島、志布志に次ぐわが国3番目の飼料コンビナートがあり、ブロイラー産業も盛んである。しかし、3月11日の東日本大震災によって亡くなられた方や、被災された方もたくさんおられる。ブロイラー工場は内陸部に多かったため、被害は少なく、どちらかといえば今年の冬の大雪の被害の方が大きかったように思う。

ただ、震災で飼料供給がストップし、ブロイラーインテと孵化場は大きな痛手を被った。飼料メーカーの懸命な努力によって、今では飼料供給も通常に戻り、処理場も通常稼働に戻っていると認識している。甚大な被害が出ているのは、岩手県内の沿岸部から宮城県北のエリアで、アマタケ様の処理場、加工場、オヤマ様の加工場等が被害を受けた。種鶏場についても、倒壊や津波による被害を受けたと聞いており、心よりお見舞申し上げます。また、塩釜、石巻、仙台、釜石の飼料供給は、八戸に比べるとだいぶ遅れ、秋までの復活を目指していると聞いている。さらに、福島原発の30km圏内に入った農場、種鶏場もあり、東日本の供給力は大きく減退していると認識している。
 このような中で、アマタケ様が7月1日出荷を目指し、地元の復興シンボルになろうとしており、その努力に敬意を表したい。

 39th_1日本における食鳥産業のはじまりは戦後にあり、創業者はほとんどが空襲を経験し、町が焼け野原となったのを見たのではないかと思う。その世代が日本の高度経済成長と、今日のブロイラー業界を形作り、強固な会社を作り上げていったのではないかと思う。

 私も含め、ここにおられる皆様や、当業界で活躍している方々のうち、このような修羅場を経験された方は少ないと思う。今回の地震、津波、原発、AIは、60年前、70年前の戦後と同じように、何かを私たちに授けてくれるかもしれないと思っている。昨今、高増体ブロイラーといわれるチャンキー種であるが、環境変化への対応に懸命に取り組めとの天の声かもしれない。今回の災害は悲しむべきものではあるが、長い目でみれば当業界を鍛え、生命力を強くするものと考えたい」などと挨拶しました。 

 39th_2会長の挨拶ののち、会長が議長となり、22年度の事業報告、収支報告、23年度事業報告及び収支予算等の各議案が審議され、全ての議案は全員可決で了承されました。例年なら総会終了後に、種鶏及びブロイラーの成績優良会員を発表、表彰されるのですが、今年は震災の影響でデータの収集に時間がかかり、9月の技術ゼミナール時での表彰となりました。

 会長の挨拶ののち、会長が議長となり、22年度の事業報告、収支報告、23年度事業報告及び収支予算等の各議案が審議され、全ての議案は全員可決で了承されました。
例年なら総会終了後に、種鶏及びブロイラーの成績優良会員を発表、表彰されるのですが、今年は震災の影響でデータの収集に時間がかかり、9月の技術ゼミナール時での表彰となりました。

 39th_3総会終了後に、㈱日本チャンキーの菊池社長が、「先の東日本大震災の被災者に対する、お悔やみとお見舞を申し上げます。また、当社栃木の孵化場、農場の被災に対し、お気遣いを頂き心よりお礼申し上げます。おかげで5月より通常稼働しています。孵化場休止の間、種鶏の納品に関し、寛大なご協力を頂き、重ねてお礼申し上げます。被災直後は、経済も停滞していましたが徐々に回復、復興に向かっており、その逞しさに勇気と感動を頂きました。総会開催も、十文字会長の被災地から経済を動かそう!との力強いお言葉で開催を決意しました。ご協力頂いた会員各社に厚くお礼申し上げます。
 さて、ブロイラー業界は、昨年度は激動の年で、2010年の年初は菌叢の違いによるアデノウィルス、大腸菌に悩まされました。そして猛暑、冬は寒波、南九州では新燃岳の噴火で、一部ブロイラーも被害を受けました。この間、チャンキーにおいても英国のAIにより、UK由来からUS由来へと切り替わり、USの能力は認めるものの、その管理方法で大きく苦労をされました。
 このような中、島根県から始まったAIが9県もの広範囲に発生し、当協会員も巻き込まれた会社が何社もありました。発生源も特定できず、来年の冬も心配な状況です。発生後の対応も、決して実態に合ったものではなく、移動制限範囲、孵化場・農場・処理場の対応、また補償の見直し等、AI発生が今後ないことを祈りますが、まさかの発生にきちんと備えて頂きたい。
 そして、年度最後の未曾有の東日本大震災と津波、そして原発問題。弊社のお客様も、津波に農場を失われたり、原発事故に巻き込まれた方もおられ、その心労とご苦労は想像に及ばないものと推察します。海岸沿いの飼料工場も大きな被害を受けられました。飼料工場含め、当該地域の各社が協力しあって、業務の継続に当たられたと聞いております。

 
39th_4以上のように、昨年度は波乱に富んだ一年ではありましたが、一方では明るい兆しも見えてきました。
本年2月に、種鶏段階で全面的に切り替わったUK由来のチャンキーの成績は、種鶏・ブロイラー共に飼育し易いことに加えて、種鶏の産卵率の改善、ブロイラーの育成率・要求率に目を見張る改善がみられます。この後の茅野先生の講演もありますが、これからの飼料原料高の環境下では、FCRが最も重要視されるブロイラーの要素です。気候変動、新興国需要の急増、バイオエネルギー原料の投入など、主要飼料原料が高騰する食鳥産業にあって、チャンキー種は最も適した種鶏であることを、自信を持って提案致します。
 今後も、高い生産能力をもったチャンキー種をご愛顧頂きますよう、宜しくお願い致します」と挨拶しました。

  最後に、國學院大學経済学部教授の茅野信行先生より、「穀物高騰の背景と今期の展望」のテーマで、飼料穀物の全世界需給状況、新興国の状況などの分析を元に、穀物価格が今後どのように予測されるか、といった内容で記念講演がありました。参加会員は皆、直接関係のあることでもあり、熱心に耳を傾けて聞き入っていました。
  懇親会は、震災の影響のなかった会員が、震災の被害に遭われた会員から、震災の状況やその後の対応を聞いたり、最近のブロイラー業界の動向等、情報交換をしながら、有意義な時間を過ごしているうちに、あっという間に終了しました。