日本チャンキー協会(秋山宗雄会長:日本ホワイトファーム(株)社長)では、4月4日、5日の両日、仙台市の仙台ガーデンパレスで第85回技術ゼミナールを開催しましたので、その概要についてご報告致します。
 内容についてご質問等ございましたら、当事務局または(株)日本チャンキーまでお問い合わせ下さい。
 ご参加下さった会員の皆様、会の運営にご尽力下さったホテルスタッフの皆様に、心よりお礼申し上げます。

85th_5今回のゼミナールでは、「鶏舎のトンネル換気について」をメインテーマに、ブロイラーの夏場の飼養管理の注意点や、種鶏の受精率改善や割卵調査の野外事例報告など、興味深い内容となりました。当初の予定を大きく上回る230名の会員が全国から出席され、正に熱気溢れる研修となりました。ただ、会場が狭くなってしまい、結果的に出席された皆様には窮屈な思いをお掛けし、主催者側としまして改めてお詫び申し上げます。 

85th_1斉藤武志氏(丸紅畜産(株))の司会で進められた1日目の冒頭、秋山会長から開会挨拶があり、今年1月から宮崎および岡山で発生した鳥インフルエンザに関連した話題に触れられました。その中で、「過去の経験を活かし、国や県および生産者、また地域住民などの関係者が一つになり、蔓延と風評被害を起こさないように、真剣な取り組みが出来た。しかしながら、今回の発生では国も想定出来なかった事態も起きて、現在の家伝法では補償が難しい事例も発生しており、今回直面した問題を分析、協議して、生産者が安心して生産に取り組める方策を確立すべく、国、県に働きかけたい」と述べられました。また、業界にとって大きな問題である飼料穀物の高騰について触れられ、「飼料価格の値上げは頭が痛い問題である。コスト上昇分を最終商品に転嫁するのも難しく、何とか乗り切るためにもチャンキー種の能力を最大限に引き出して、1羽でも1グラムでもロスをなくし、全て売上に繋げる努力をしなければならない」と述べられ、最後に「この2日間の研修を有意義に活用して頂いて、その成果をしっかりと現場で活かし、会社に貢献して頂きたい」と結ばれて、講演に移りました。 

85th_2最初の講演では、米国・ジョージア大学のエクステンション・エンジニアのマイケル・ザリック氏に「鶏舎のトンネル換気について」のテーマで、3時間を超える講演をして頂きました。この講演では、最新の科学機器(サーモグラフィー)を用いた鶏舎内の温度分布や経時的な変化の様子、またスモークを用いた鶏舎内の換気輪道などを、ビデオを使いながらビジュアルに示され、換気の基本的な考え方をはじめとして、寒冷気における最低換気量や、夏場のトンネル換気時にトリを冷やす舎内風速がどの程度必要か、また二酸化炭素濃度や風速とブロイラー成績の関係について、前・後編に分けて詳しく解説されました。この中で、入気口の形状とその特性について述べられ、入気の考え方として冬場には如何にトリから遠くへ飛ばすか、また夏場は如何にトリに直接風を送るか、などについて基本的な解説がありました。 

85th_4続いて、戸田 功氏((株)日本チャンキー)が「ブロイラーの農場管理(夏場)」と題して、夏場のブロイラー飼育管理の注意点をポイントを絞って説明し、餌付けの重要性について育雛期からの温度管理、また高温時の防暑対策などについて解説されました。また、この中で「暑熱被害は天災ではなく人災である」と結び管理を疎かにせず、細やかな管理の対応の必要性を強調されました。

 この後、1日目を終え懇親会に移って、和やかに歓談致しました。今回の技術ゼミナールに合わせて来日したエビアジェン社・アジア地区営業担当役員のポール・ギティンス氏と、ビル・サウザー氏が紹介され、それぞれ会員の皆様と親交を深めました。

  吉田 亮氏((株)阿部繁孝商店)の司会で進められた2日目は、野外事例の報告として、チャンキー種鶏の「受精率の改善について」をテーマに、丸紅畜産(株)霧島事業所の新村太一氏と、日本ホワイトファーム(株)知床生産部の加藤静一氏が、それぞれ自社での取り組み状況と改善効果などについて、具体的な例を挙げて詳細に説明・紹介されました。また、孵化場での取り組み例として、(株)イシイ徳島支店の山崎恭也氏が「割卵調査について」のテーマで、自社での実例を報告しました。今回の野外事例報告では、受精率に関連する農場や孵化場での要因を、各社が独自の視点や工夫例などを話され、出席者からも貴重な情報が得られたとの声がありました。

 休憩のあと、(株)日本チャンキーの田中康之氏が「種卵の取り扱い」について、集卵時や貯卵時の注意点などについて説明がありました。最後に、今年1月に訪米した視察報告を、(株)日本チャンキーの森川敦夫氏と北海道第一ブロイラー(株)の小林隆志氏がそれぞれ報告し、日本チャンキー協会ブロイラー部会長代行の神田謙一氏(住田フーズ(株))の閉会挨拶で、2日間の日程を無事に終えました。