日本チャンキー協会(秋山宗雄会長:日本ホワイトファーム(株))は、9月2日・3日の二日間にわたり、京都市・ホテル ルビノ京都堀川で200名を超える会員の参加のもと、第90回技術ゼミナールを開催致しました。
 今回のゼミナールの概要については、下記のようにご報告を致します。
 内容についてのご質問などございましたら、当事務局または(株)日本チャンキー営業部までお問い合わせ下さい。

 90th_tech3開催に先立ち、挨拶に立った秋山会長は 「先日の日曜日の選挙で民主党が圧勝し、がっかりされた人、またそうでない人がいらっしゃると思うが、アメリカではオバマ大統領が「チェンジ」を掲げ、日本のこの政権交代と非常に似た感じがする。国民は、中身がもっと分かる政治をして欲しいと望んでいるのだと私は思う。この政権交代が、我々の業界にどのような影響があると考えられるか?新しい方向性を打ち出し、それを見据えて実行に移していかなければならない。
 BRICs各国や、途上国が近年目覚ましい発展を遂げている。それは消費を著しく増やすが、同時に負も生む。確実に資源、食糧は不足するだろう。どの国もそれに対する対策をとってきている。他所の土地を借りても農業をやる、また外国資本が日本の水資源に目を付け、誰も立ち入らない山奥を買っているという話もある。日本は、食糧をカロリーベースで41%を輸入に頼っている。民主は、農家の戸別所得保障をすると言っているが、それはそれなりに時間と労力が必要となるだろう。 

90th_tech1政策を推進するにあたり、何でもかんでもではなく、色んな面で不合理なものは廃止されるだろう。畜肉、すなわち、牛・豚・鶏を考えるならば、エネルギー効率、また食糧として、子供からお年寄りまで好まれるのが鶏肉だと思う。鶏肉の持っている特性(安心・安全だけでなく)をもっとアピールをして、それを認めてもらい、我々は一生懸命に生産を行う必要がある。

 キーワードは「おねだり」から「自立」に。国の補助金を抜きにやれる体質にしなければならない。また、ある人から聞いた話しだが、安心と安全は違うとその人は言っていた。日本と中国の商品を比較した場合、日本のものは安心と言うだろう。食品がどのように作られたかトレース出来れば安心である。しかし、これは安全を担保するものではない。安心して食べたが骨が出てきた。これは安全とは言わない。国産だから安心・安全だといくら作るほうが言っても、実際判断するのは消費者。消費者が納得できないものは受け入れられない。消費者目線に立ってチキンを作る。これはチャンスである。そういう意味では、食鳥業界もまだまだ可能性がある。本日消費者庁が立ち上がった。原産国表示、安心安全を付加し、消費者に受け入れられるものを作る。まさにチャンスである。チキンは加工しやすい。焼肉屋にもチキンのメニューが登場してきた。まだまだ未来がある。
 昨日食鳥協会の会合があったが、現在の飼料高・相場安からか、集まった人たちに閉塞感が漂っていた。あきらめかな?と思うくらいだった。

 90th_tech2自分の商品を良くしようと思うのはみんな一緒。この研修会の参加者は生産の人たちが多い。
 チャンキーはずっと問題なくここまできた。今、問題が生じたわけではないが、育種改良がより進み、変化してきている。この変化をプラス思考で捉え、管理面その他のことに対応してもらいたい。
 この変化は、世界のブロイラーの育種の方向性である。早く大きくなるなら、骨格・バランスを良くする。そのためには、飼料栄養からも飼料をきちんと作ってもらわなければならないし、その餌を餌付時からきちんと食べさせなければならない。それなしに良い成績の鶏にしろというのは無茶な話。     
 これからのブロイラーの変極点が今かな?と思う。

 今日、明日と飼料栄養の話、管理の話がある。ここでしっかり勉強して帰り、それぞれの会社内、農家にきちんと伝えて欲しい。これからの二日間が有意義なものになることを祈念し、挨拶とする」と述べて、一日目のゼミナールに入りました。

 一日目は、冨谷学氏(丸紅畜産㈱)の司会で進められました。近年ブロイラーの育種改良が急速に進み、高増体ブロイラーになってきたことを受け、その能力を十分に引き出すため、管理面での助言をエビアジェン社のテクニカルマネジャーであるマイケル・ロングレイ氏が、また高増体ブロイラーに必要な栄養について、同じく栄養サービスマネジャーであるキム・ハン氏がそれぞれ説明を行いました。特に、最近の目覚ましい増体能力の向上を引き出すためには、適切な栄養レベルが求められ、管理面でも最近の研究からブロイラー肥育への光線管理の有効性が強調されました。また、ブロイラーマニュアルが最近発行されたことを受けて、「ブロイラー新管理マニュアルの解説」を、引き続きマイケル・ロングレイ氏が行い、一日目を終了しました。

  二日目は、山本喜則氏(㈱ヤマモト)の司会で行われました。
 はじめに、エビアジェン社のゴウ・ジュン氏が「孵卵技術に関する解説」と題して講演を行い、貯卵から孵化までの温度管理、特に孵卵機内の棚や場所の温度差を少なくすることの重要性が強調されました。続いて森川敦夫氏(㈱日本チャンキー)が、昨年度のチャンキー種の種鶏、ブロイラーの実績調査から「全国実績調査のまとめ」を報告。 最後は、野外実績報告として、種鶏部門は内澤勝栄氏(㈱十文字チキンカンパニー)が同社の種鶏成績の改善報告をしました。またブロイラー部門は、戸高操氏(日本ホワイトファーム㈱)が好成績を出している傘下農場の成績、管理方法について報告を行い、最後にブロイラー部会長の神田謙一氏(住田フーズ㈱)の挨拶で二日間のゼミナールを終了しました。