日本チャンキー協会(秋山宗雄会長:日本ホワイトファーム(株))は、4月7日・8日の二日間にわたり、仙台市・ホテル 仙台サンプラザにおいて、第91回技術ゼミナールを開催致しました。全国から235名が参加し、熱心に聴講されました。
 以下、会長挨拶概要と、演者講演内容をご紹介致します。

91tech_7【 会長挨拶概要 】
 多くの会社が、4月から期待と不安が入り交じった新しい年度を迎えられたかと思う。2009年は、全ての畜肉にとって苦労の多い一年であった。2008年のリーマンショック後の不安に端を発し、そのまま現在に至っている感じがする。我々に関連する穀物、原油も値下がりはしたが、一方で消費も冷え込み、作ったものが安くないと売れない状況である。日本は現在も取り残され、デフレが長期化している。肥育牛は子牛が売れず、豚はワクチンの開発で生産過剰、卵も状況は悪い。 

91tech_1そんな中、チキンはというと他の畜産物とちょっと違う。通常は年間の前半は苦しく、後半にその穴を埋めていたが、昨年は違った。12月に上がった相場は年明けとともに急激に下がるのが、今年は12月と同じ水準で推移したまま現在に至る。今年は相場が下がらない。果たして今後どうなるのか?4月は、このまま行けば加重で昨年より50円/kg高い。この水準でいくのではないか、というのが今年の期待。今、皆が一番興味を持っているのは生産、とりわけチャンキーの輸入先の変更。それに関する情報が、色々なところから推測も含め飛び交っており、業界の色々な現象(雛が足りない ・肉が足りない等)の理由を全て鶏種責任にして説明している感がある。鶏種がどうの、餌がどうのと言いたいことはあると思うが、日本のように種を持たない国として、日本チャンキーは皆の期待に沿うべく奮闘し、大変だと思う。今こそ各社が、現場できちんとした対応をしてもらいたい。世界の育種は効率重視である。日本では管理が大変というが、それはきちんと現場で対応し、解決するしかない。そのためにも、日本チャンキーには正しい情報の提供をお願いする。飼料も、最近原料にバラツキがあるのでは?夫々の飼料会社にも、それに関しきちんと栄養補正をしているはず。そういった正しい情報を、農場サイドに伝えて欲しい。それぞれが正しい情報を出し合い、それぞれの立場で解決すべきであるし、必ず出来るはず。そして素晴らしい能力のあるチャンキーを飼いこなして欲しい。 

91tech_291tech_391tech_4話は変わるが、国は2020年に向けて食糧受給率を現在の40%から50%にする目標を立てている。
実現のためには、生産手段の確保が必要。日本は人口が減少しているが、世界はまだ増え続けるだろう。食生活も豊かになるだろう。そんな中、果たして今までと同じように、日本は好き勝手に食糧確保が出来るだろうか。日本の農業人口は、試算では2025年に25%減少する。新政権は、自給率アップのために、農家戸別所得保障を謳っている。牛豚卵は、今までも十分保護してもらっている。チキンは何もしてもらっていない。今後も期待出来ないだろう。ここで一つ提案がある。飼料米だ。食糧米は、現在の水田の60%の作付けで足りる。40%を小麦や大豆等に転作してきたがうまくいかない。ここで飼料米がクローズアップされてきた。2020年には米粉50万トン、飼料米70万トンの生産目標を掲げた。さて、どこで作るか?20万haの水を張るだけで4万円/haの補助金が消えている。ここを利用すると72万トンの生産が見込まれる。食糧庁は一生懸命だが、その生産物を誰が利用するか?これこそチキンに利用するのが一番。仕上げ用の飼料に10~20%、籾のまま使用出来る。これは別の利点もある。籾のままで食わせることにより、筋胃は1.5倍になった上丈夫になり、健康な鶏が出来る。糞はまた田に還元出来る。チキンは国の補助が見込めない。ここは各市町村、飼料会社、インテ、農家が一体となって進める。藁も牛農家に使ってもらう(補助金がある)・・・といった非常に良いサイクルが出来上がる。しかし、これには時間とお金がかかる。ここはひとつ行政にお願いしたい。とうもろこしの世界の総輸出量は6,600万トン。その20%を日本が輸入している。話は簡単だが、果たして何時まで日本は自由に輸入出来るだろうか。 穀物需要は世界的に増え続け、相場は上がるだろう。その時、必ず飼料米が必要となる。とうもろこしの代わりは米で代替出来る。チキンのみがその恩恵を受けられる。近く、食鳥協会からアンケートが各社に届くはず。それをもって行政に掛け合う予定である。皆が力を合わせれば、成し得る事業だと思う。期待と不安、この2日間のゼミで、期待はより大きなものに、不安は解消すべくしっかり勉強してもらいたい。

以上 

第1日目は、斎藤武志氏(丸紅畜産㈱)の司会で、2日目は清水隆治氏(㈱十文字チキンカンパニー)の司会で進められ、参加者は熱心に各演者の講演に耳を傾けていました。
ゼミナールの講演内容につきましては、下記をご参照下さい。

第91回技術ゼミナール プログラム及び講演内容
技術ゼミナールプログラム    
● 第一日(4月7日)
司会 斎藤 武志氏/丸紅畜産㈱
1.開会の挨拶
日本チャンキー協会 会長 秋山 宗雄氏
2.報告:「高増体ブロイラーの管理について・・・野外事例から・・・」
㈱日本チャンキー 田中 康之氏
3.報告:「高増体ブロイラーの管理について・・・当社農場成績・・・」① 
住田フーズ㈱ 吉田 順氏
「高増体ブロイラーの管理について・・・当社農場成績・・・」② 
丸紅畜産㈱ 渡邊 晋氏
4.講演:「高増体ブロイラーの管理について・・・日本・諸外国の事例から・・・」
エビアジェン社 マイケル・ロングレイ氏
 
● 第二日(4月8日)
司会 清水 隆治氏/㈱十文字チキンカンパニー
1.講演:「鶏舎のワクモ対策
千葉県畜産総合研究センター 村野 多可子氏
2.報告:「海外視察団帰朝報告」  
エビアジェン社のプレゼンより
㈱日本チャンキー
太田 修二氏
米国農場視察
㈱十文字チキンカンパニー
苅間澤 孝博氏 
カナダ農場視察
丸紅畜産㈱
野方 栄氏
3.講演:「換気の考え方
㈱日本チャンキー
森川 敦夫氏
4.閉会の挨拶
日本チャンキー協会 種鶏孵卵部会長
甲斐 光夫氏