【 第94回技術ゼミナールを東京で開催致しました 】
4月11日(水)・12日(木)の両日にわたり、東京ガーデンパレス(東京・お茶の水)において、第94回技術ゼミナールを開催致しました。

 94th_tech6ゼミナール開催に先立ち、十文字保雄会長(㈱十文字チキンカンパニー社長)は、「北は北海道から南は鹿児島まで、遠路東京まで260名の会員においで頂き、ありがとうございます」と感謝の言葉を述べた上で、「寒い冬が過ぎ、無事日本国内での高病原性鳥インフルエンザの発生のないまま、春を迎えることが出来ました。昨年見舞われた宮崎、あるいはその周辺の各社さんは、特にその翌年ということで、入念に対策を練って臨まれたことと思います。 

 “発生がなくて良かったですね”とお互い労いたくなるような春の陽気になってきましたが、日本全国、今しばらく用心して梅雨を迎えたいものです。
 
94th_tech7さて、一連の高病原性鳥インフルエンザの発生は、2004年からで、当時79年振りと言われました。それから、幾度となくその脅威にさらされてきました。地球上に人間の数がどんどん増えて、肉食が増えていけば、飼育する鶏も増える。増えると高病原性鳥インフルエンザが発生しやすくなる。これは、業界の天敵のような病気だな、果たしてこの業界に未来はあるのか。恒常的に病気に見舞われる牛、豚、鶏に代わる畜産動物が出現して、世界を席巻するのではないか、と思ったこともありましたが、まあ、そのあたりは私の妄想かもしれません。 

 いずれにせよ、これまで幾度と国内発生したことで、我々業界人もその対策のレベルを上げてきたと思います。勿論、その中には空港で靴底を消毒するなど、外部の対策もありますが、究極的には、自農場の「当たり前のことを当たり前に実行する」の一点ではないでしょうか。 

94th_tech1防鳥ネットの網目、長靴の交換、踏み込み消毒槽に漬けるといったことが、必ずしも100%出来ないので頭を痛めていた会社さんもあったかと思います。しかし、これほど国内での発生が続きますと、業界全体の防疫意識が高まってきて、そんなレベルの農場はほとんど存在しないようになってきているのではないでしょうか。  

94th_tech2また、会社全体での防疫意識、あるいは仕事に取り組む姿勢が高まって、組織としての強固さが高丸という副次的な効果があると思います。東日本大震災についても同様で、被害にあった当社もこのことで良い教訓が得られ、組織が強固になったと思っております。
 さて、ここで私の持論を述べさせて頂きたいと思います。

94th_tech3結論を言うと、鶏を飼育する農場長には、国家試験合格を必須とすることです。以前は、農家の水準を上げるために、厳しい試験を課したらどうかという着目点でそう思っておりましたが、今は、これだけハイレベルなことを実際要求され、実践しているのだから、国家試験合格の勲章を与えたいと思っています。
  ちなみに、シンガポールでは、日本のQBハウスが人気なんだそうです。なぜかというと、日本には理容の国家試験があって、シンガポールにはありません。だから、シンガポール資本の理髪店は、技術水準がバラバラで、日本資本だと一定水準だから安心だというそうです。
  ところで、量販店の店頭には、農家さんたちの顔が印刷されて、消費者に買ってくださいと訴えております。残念ながら、社長の顔では全然売れません。農家さんたちの社会的な地位を、更に向上させるよう努めることで、当業界もより潤うのではないかと思います。その一つが国家試験、と思うのです。これは広く、畜産業界全体に言えることでしょうが。運転免許ではないですが、最新の情報を得るためにも、5年毎の更新義務くらいでやったらどうかと思います。

94th_tech4最後になりますが、今日明日の充実した日程を組んで頂いた事務局と、プレゼンして頂く関係者に感謝を申し上げ、冒頭の挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました」と挨拶しました。

94th_tech5一日目のゼミナールは、ABフーズ社のキム博士が「高増体ブロイラーの飼料栄養」・「種鶏の飼料栄養」のテーマで、今日のチャンキー種に有用な飼料栄養の考え方等、事細かな説明をしてくださいました。
 続いて、㈲松尾孵卵場の横川栄氏が、昨年11月のブラジル視察団を代表して、ブラジルの環境、ブロイラー産業の現状、視察農場、処理場の概要について報告しました。
 一日目が終了した後、懇親会を開催致しました。参加者の皆様は、本日のゼミの内容に関して、また各社・各地域の情報交換を熱心にされていました。

 二日目は、(財)生物科学研究所の川原史也氏、㈱インターベットの古路琢也氏より、「種鶏におけるコクシジウム症対策」と題して、コクシジウム発症のメカニズム、また各社の同病予防のワクチンの説明、及びその使用説明をして頂きました。
 続いて、㈱日本チャンキーの田中康之氏が「冬季のブロイラー管理~野外事例」を、森川敦夫氏が「夏場のブロイラー管理ポイント」を各々講演しました。
 田中氏の講演では、「空気の質」を重視し、餌付け後早い段階より空気を撹拌することで刺激を与え、採食を促すことの重要性を、野外事例を元に説明しました。また、冬場での成績として、プロダクションスコアー(PS)400超え、FCR1.6台の農場の紹介があり、参加者の皆様も、チャンキーブロイラーの能力の高さを再認識されていました。
 森川氏の講演では、夏場はいかに冷たい空気を取り入れるか、鶏舎内の風速をどのようにとるか、など具体的な説明をしました。

 講演が終わり、最後に中村義昭広報部会長(㈲武雄種鶏孵化場社長)の閉会の挨拶で、全日程を終了致しました。

技術ゼミナールプログラム    
● 第一日(4月11日)
司会 畠山 知己 氏/日清丸紅飼料㈱
1.開会の挨拶
日本チャンキー協会 会長 十文字 保雄氏
2.講演:
「高増体ブロイラーの飼料栄養」 ABフーズ社 キム・ハン氏
「種鶏の飼料栄養」 ABフーズ社 キム・ハン氏
3.報告:
「第29回海外視察団 ブラジル報告」 ㈲松尾孵卵場 横川 栄氏
 
● 第二日(4月12日)
司会 車田 信彦氏/㈱福島エンヤ
1.講演:
「種鶏におけるコクシジウム症対策」 (財)日本生物科学研究所 川原 史也氏 ㈱インターベット 古路 琢也氏
2.野外報告:
冬場のブロイラー管理野外事例」  ㈱日本チャンキー 田中 康之氏
3.講演:
夏場のブロイラー管理ポイント」 ㈱日本チャンキー 森川 敦夫氏 
4.閉会の挨拶
日本チャンキー協会 ブロイラー部会長 神田 謙一氏