【第42回 日本チャンキー協会通常総会を開催しました】
開催日:2014年6月4日(水)
場所:アークホテル岡山
新会長に永井賢一氏(日本ホワイトファーム㈱ 代表取締役社長)を、理事に小林義昭氏(㈱十文字チキンカンパニー 常務取締役)、上村康浩氏(プライフーズ㈱ 執行役員 生産・製造本部 本部長)を、監事に山中将弘氏(日清丸紅飼料㈱ 中西部畜産営業部長)を選出
2014年6月4日(水)に、アークホテル岡山(岡山県岡山市)において、第42回日本チャンキー協会通常総会を開催致しました。
総会の冒頭に十文字保雄会長(㈱十文字チキンカンパニー社長)は「会長を仰せつかわりまして4年、この度晴れて退任させて頂きます。これからのチキン業界について記帳をしたためて参りました。まず日本の人口は2008年がピークで1億2808万人というデータがあります。今年2014年5月で1億2710万人。約100万人弱、香川県の人口が99万人で、ほぼそれに匹敵する人口がここ6年でいなくなったということです。これから34年後の2048年では1億人を割り込む見込みだということです。34年といいますとチキン業界の関係者にとっては新しい鶏舎を建てると大体それぐらいというイメージがあるかと思います。その時になりますと私は85歳、皆様はどれくらいの御年になっているか、おそらくほとんどの方々はこの業界を退任されているのかもしれません。1人当たりの国産チキン消費量が今と同じで平均体重も同じ、また輸入比率も同じだと現在の6億5千万羽は5億1千万羽という計算になります。鶏舎の老朽化が進み、公害問題の目がより一層厳しくなっている昨今、鶏舎につきましては丁度良い頃合の自然減となるかもしれません。
増田寛也前岩手県知事前総務大臣がまとめておりました日本創成会議の資料によりますと銀行の東京一極集中が進み、地方には若い女性が残らない状態になるということです。処理場の主力は女性なので非常に厳しくなっていくと感じざるをえません。実際私が住んでいる岩手県も目に見えて人口が減っており、若い人は仕事と刺激を求めて仙台か東京に行きます。私どもの会社で500人程度の工場が2つありますが、このままではそれぞれ3万人ほどの町でこれだけの人数が維持できるのか甚だ心配です。しかし考えよっては女性の雇用が出来ているチキン工場は東京に流れ出る地元の人口の流出を食い止めることのできる産業といえるかと思っております。倉敷の倉紡記念館を見さして頂きましたが、中学校を卒業された女工さん達にお茶やお花の教室、ダンス教室などを用意し、良い仕事をして頂くように出来ていると感じました。それと同じようなことも我々も踏まえていかなくてはならないのかなと感じております。
動物性蛋白の中では将来性のあるチキン業界であり、これからさらに地方、地元を支えるハブとしての機能が求められているのではないかと感じております。短期的には来年、食事の機能性表示が解禁になります。「鶏ムネ肉は疲労回復に効果がある」や「肝は貧血に良い」といったことをパッケージに書くことが出来るという事が1年後に迫ってきております。ということで鶏ムネ肉あるいは肝といったものがさらに消費が増える可能性があると期待しております。原産地表示については依然外食、惣菜等以外ということは残念ですが、来年大きな波を乗り切っていきたいと感じております。
最後になりますが皆様に支えられまして会長として全うすることが出来ました。この4年間にもチャンキー種鶏のシェアはじわじわと高まり、育種改良スピードも高まり、日本チャンキー協会が果たすべき役割もより一層高まったと思います。のみならず技術的知識も豊富な次期会長予定の方と共々、益々業界を発展して、業界をリードしていく役割をこの協会が果たして頂けるものと思っています。日本チャンキー益々の発展を祈念致しまして冒頭の挨拶とさせていただきます。」
と挨拶しました。
会長挨拶の後、会長が議長となり、総会議案1号議案~5号議案までの全ての議案が滞りなく審議・可決されました。また、報告事項として、会員の異動では㈱九州孵卵、㈲武雄種鶏孵化場が退会、丸紅畜産㈱が㈱ウェルファムフーズへ名称変更致しました。役員及び委員の異動は、会長の十文字保夫氏が永井賢一氏に、理事の永井賢一氏が小林義昭氏に、長谷川剛氏(プライフーズ㈱)が上村康浩氏に、監事の本宿吉夫氏(日清丸紅飼料㈱)が山中将弘氏に、広報部会長の中村義昭氏(㈲武雄種鶏孵化場)が松本弘文氏(㈱松本鶏園)に、広報部会委員の岡野尚義氏(日清丸紅飼料㈱)が木澤文宏氏(日清丸紅飼料㈱)に、種鶏孵卵部会委員の吉野富士男氏(㈱ウェルファムフーズ)が新村太一氏(㈱ウェルファムフーズ)に、ブロイラー部会委員の石川亘氏(日本ホワイトファーム㈱)が木明誠一氏(日本ホワイトファーム㈱)に、藤山新氏(宮崎くみあいチキンフーズ㈱)が吉川透氏(宮崎くみあいチキンフーズ㈱)に、広報部会委員の小笠原一夫氏は種鶏孵卵部会委員へ、ブロイラー部会委員の森嘉澄氏は広報部会委員へ変更となりました。
その後、十文字保雄前会長より「4年間本当にありがとうございました。この4年間、本当に色々勉強させて頂いたと思っております。日本チャンキーとは入社してすぐイギリスに7ヶ月出かけ、その時に大変お世話になり、前のロスブリーダーズの頃の方々を存じ上げており、そういった縁もあったことから、少しはお手伝いできればと思っておりましたが、気がついてみればあっという間の4年間でした。私は日本ホワイトファーム 秋山社長から受け継いだわけですが、また日本ホワイトファームの、業界の事を本当に知り尽くしている永井社長に受けて頂き、本当によかったと思っております。本当に4年間大変お世話になりました。ありがとうございました。」
と挨拶した後、永井賢一新会長より「十文字前会長、4年間本当にお疲れ様でした。4年前ということは、その期中に非常に広がりが大きかった鳥インフルエンザの発生や過去に例のない東日本大震災を受けて非常に業界全体の心配をされたと思いますし、非常にご苦労をされたと思います。それを乗り越えて、今現在があるわけですが、チャンキーという鶏種が長年に渡って、種鶏部門においてもコマーシャル部門においても成績を向上し続けていることに驚いております。日本チャンキーやAviagen社のすごい努力があると思っています。現在、業界として将来に向けて抱えている問題とすれば、十文字前会長が言われた様に、人口が確実に減っていっており、約5億1千万羽になるかもしれない。それをどう乗り切っていくか。そして、直近とはならないかもしれませんが、TPPの問題で、確実に避けて通れないと思っております。海外からのおそらく国産の鶏肉よりも圧倒的に安い豚肉が入った場合に日本の消費者がどう反応するのか、売り場を作るバイヤーの方達がどう反応するのか、これが一番の驚異ではないかと感じております。もう一つは、人手不足が非常に深刻だということです。日本ホワイトファームも、あまりにも急激な人手不足に耐えきれずに、海外の研修生を受け入れざるをえない。それに対して、この業界がどう対応していくのか、生産部門、また製造部門でもまだまだ省力化なりをする必要があるのではないのかと考えています。また、豚PEDの問題で10月以降、相当豚の数が減るので、鶏の業界としてはBSEの時くらいの逼迫感あるいは価格の高騰ということもあり得るかと思いますが、その時に大事な事は、お店に国産の鶏肉をきちんと並べられるかどうかだと思います。その時に国内の孵化がなく、国産の鶏も通常の分しかなければ売り場を作ることが出来ず、輸入品のスペースがさらに広がっていくと思います。10月以降、鶏肉は相当引き合いが強くなることは間違いないと思い、業界として売り場を死守することも必要ではないかと思っております。豚PEDが治まれば元に戻るわけですが、輸入品に奪われた売り場を取り戻すのは非常に難しい。現状でも、インフルエンザの時に売り場を確保したブラジル輸入品のスペースは無くならず、更に売り場を拡大するような機会を与えてはいけないと思いますので、国内の我々が一丸となって取り組んでいって乗り切るべきと思っております。さらなるチャンキーの成績向上で、海外とのコスト競争力に勝てるような日本のブロイラー業界になっていかなければならないと思いますので、精一杯やっていきたいと思います。宜しくお願いいたします。」と挨拶しました。
今総会にて優良会員として表彰された方々は以下の通りです。
※本年度より種鶏孵卵部会では部門賞で生存率の部、ブロイラー部会では部門賞で単一鶏群成績として、日増体の部、出荷率の部、要求率の部、生産指数の部が新たに加わりました。
□ 種鶏孵卵部会
最優秀賞 ・日本ホワイトファーム㈱
優秀賞 ・プライフーズ㈱
・鹿児島くみあいチキンフーズ㈱
努力賞 ・米久おいしい鶏㈱
部門賞
育成率の部 ・㈱グリーンファーム 99.41%
生存率の部 ・㈱グリーンファーム 98.50%
ヘンハウス産卵数の部 ・プライフーズ㈱ 軽米種鶏場 215.47個
ピーク産卵の部 ・㈱福島エンヤ 94.70%
産卵持続の部 ・プライフーズ㈱ 軽米種鶏場 70%以上34週間
孵化成績の部 ・日本ホワイトファーム㈱ 知床事業所 88.5%
□ ブロイラー部会
最優秀賞 ・日本ホワイトファーム㈱
優秀賞 ・㈱あべはんファーム
部門賞(年間農場成績)
日増体の部 ・㈲松尾孵卵場 正木農場 68.2g
・日本ホワイトファーム㈱ 五十嵐純一農場 67.9g
出荷率の部 ・㈱JAフーズさが 山口哲郎農場 98.5%
・㈱一宮家禽孵卵場 長谷川第一農場 98.5%
要求率の部 ・㈱松尾孵卵場 富熊農場 1.710
・山陰農芸㈱ 藤原農場 1.706
坪産肉量の部(中抜き有り) ・プライフーズ㈱ 鶴飼繁男農場 173.7kg
・住田フーズ㈱ 泉金一農場 200.4kg
坪産肉量の部(中抜き無し) ・日本ホワイトファーム㈱宮崎事業所 小野教明農場 179.1kg
・日本ホワイトファーム㈱札幌生産部 CS-4農場 190.5kg
生産指数の部 ・㈲松尾孵卵場 正木農場 376.3
・日本ホワイトファーム㈱ 五十嵐純一農場 374.6
改善の部 ・日本ホワイトファーム㈱ 渡部平農場
・日本ホワイトファーム㈱ 土口農場
部門賞(単一鶏群最高成績)
日増体の部 ・㈲松尾孵卵場 正木農場 72.1g
・山陰農芸㈱ 猪子垣農場 71.0g
出荷率の部 ・日本ホワイトファーム㈱ 宮崎事業所 黒木和徳第二農場 99.4%
・㈱一宮家禽孵卵場 日下部第一農場 99.7%
要求率の部 ・㈱あべはんファーム 高田啓介農場 1.653
・㈱大山どり 山根農場 1.600
生産指数の部 ・㈱あべはんファーム 沢上農場 396.5
・山陰農芸㈱ 小川保農場 407.0
※ 各部門 上段・・・開放鶏舎
下段・・・ウインドレス鶏舎
□ 広報部会
功労賞 ㈱十文字チキンカンパニー 代表取締役社長 十文字保雄氏
2013年度チャンキー実績調査報告はコチラ
表彰後、㈱日本チャンキーの森川敦夫氏より、『種鶏、ブロイラーの実績調査まとめ』の題目で、今回の実績調査結果について報告しました。
そして、総会終了後に、㈱日本チャンキーの森永浩二社長は、「ご多用の中、日本チャンキー協会の第42回 通常総会にご列席賜り大変有難う御座いました。又、平素からのチャンキー種に対するご愛顧につき、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
まず始めに、この総会で4年間の任期を終えて、本日協会長を退任された十文字前協会長に御礼を申し上げたいと思います。十文字前協会長は、株式会社 十文字チキンカンバニー 代表取締役、並びに業界の要職を歴任され又業界を越えて多方面で、ご活躍の大変ご多忙の中で、日本チャンキー協会長の職務を4年間全うされていただきました。「人・動物・環境の健康」を実践しモットーとされ、数々の貴重な提言をしていただきました。大所、高所の視点で日本チャンキー協会を導いて頂いた事に改めて、厚く御礼を申し上げます。
今後ともに、多方面での益々のご活躍を祈念するともに、引き続き日本チャンキー協会をご指導、ご鞭撻賜りたく思います。
また、新たに協会長にご就任頂いた日本ホワイトファーム永井社長様には、急速にそしてめまぐるしく変化が予想される当業界の中で、日本チャンキー協会の舵取りをお願いする事になります。末永く宜しくお願い申し上げます。
さて、この一年を振り返ると、色々な事柄、事象が目白押しでした。気象の面で言いますと、昨年の長い猛暑、そして長く厳しい冬、台風、洪水、雪害など、異状気象に翻弄された一年だったと思います。ただし、地球の温暖化と共に、これからは異常気象が日常であるそういう前提で対処すべきであることを認識させられた一年でした。
また、この4月に熊本県での鶏インフルエンザ発生がありましたが、生産者を含め関係当局の迅速な対応で風評被害も殆どなく、終結しました。発生事態は残念な事ですが、その対応としては模範事例となるべき事と思います。
今後につきましては、近隣諸国での鶏インフルエンザの継続発生している状況を考えると決して予断の許さない状況である事は変わらないと思います。それに加え、家禽以外でも、日本、米国でのPED,又欧州での豚コレラを含め、家畜の疾病が、今後とも大きな懸念材料です。
今年度の気象つきましてもすでに6月で東北、北海道を含めた異常の猛暑がすでに始まっています。また片方で今年は気象庁の予測では7割以上の確率でエルニーニョが起こるとのことです。これは逆に冷夏になるかもしれませんが間違いなく通常と異なる気象が発生するかもしれない状況です。家畜の病気の蔓延、配合飼料の高騰、電気・燃料・輸送コスト上昇、人手不足、そして継続協議が行われているTPP交渉を含め、畜産業界をとりまく環境は今後大きな変化がまだまだ予測されますが、日本の食肉産業の内、ことブロイラー関連産業については、その位置づけが今まで以上に大きく、重要になってくるものと考えています。
日本チャンキーとしては、激しい環境変化を踏まえて、だからこそ、基本と本分に徹して、「能力の高い種鶏雛の安定供給を図る」事に専心したいと思います。
先ほど、種鶏、並びにブロイラーの該当年度、生産成績の優秀な会員の方々への表彰が行われました。特に、異常気象が連続した厳しい環境の中でも、毎年更新されているその成績には目を見張るものがあります。チャンキー種の性能改善もさることながら、その特性をご理解頂き、その特性を十分に引き出して頂いている会員の皆様へ改めて御礼申し上げます。
チャンキーの源である英国Aviagen社では、今後4-5年後(2018-2019年)までに日本で餌付けされるチャンキーの種鶏、及びブロイラーの性能、成績が、今現在英国で飼育されているエリートストック、GGPSで更なる性能が改善される事が既に実証されています。
その結果、少なくとも今後4-5年間はこの場で発表される成績結果が毎年更新されることになるはずですので、皆様も楽しみにして頂ければと思います。
また、急速に拡大するアジア地区でのブロイラー需要に合わせて、Aviagen社ではモモの歩留まり改善にも本格的取り組みが行われており、2014年で今後早晩日本での具体的結果が出てくるものと期待しています。
もう一つ、英国Aviagen社に関してご報告することがあります。
Aviagen社は英国で唯一、英国の農水省にあたるDEFRAよりコンパートメントとして、英国内AI発生時であっても、Aviagen社の農場・孵化場より輸出する事の許可を取得しています。また、輸入元になる南アフリカ、ニュージーランドなどがこの英国の制度を受け入れています。現在、日本ではこの制度の適用が検討中ですが、昨年11月に既に日本農水省の検査官がAviagen社の施設を視察しており、日本でもこの制度適用が前向きに検討されていると聞いております。チャンキー種にとっては英国内AI発生時であっても、安定・継続的に英国雛の取り扱いが可能になりますので、会員の皆様にとっても明るいニュースになると期待しています。
日本チャンキーも、英国Aviagen社の取り組み、またチャンキー種の性能向上に見合うべく、社員スタッフの向上、サービスの改善努力を致しますので、会員の皆様におかれましては、今後ともチャンキー種、そして新しい協会長を迎えた日本チャンキー協会、そして日本チャンキーをご愛顧のほどお願い申し上げます。
最後になりましたが、会員の皆様の益々のご発展、並びに皆様のご健勝を祈念して
挨拶とさせて頂きます。」と挨拶しました。
その後、消費者問題研究所の垣田達哉氏より『「食の安全」時代を生き抜く机上とは』の題目で講演されました。
最後に、Aviagen社のBill Souther氏より最新技術によりFCRや歩留まりなど引き続き育種改良が進んでおり、また2012年から、モモ肉歩留まり改善にも注力している事、バイオセキュリティーへの注力や世界的な事業展開により安定供給を行える体制にある事などの報告があり、終了致しました。