【第45回 日本チャンキー協会 通常総会を札幌にて開催致しました】

日時:2017年6月1日(木)
場所:ホテルライフォート札幌

2017年6月1日(木)、ホテルライフォート札幌(北海道・札幌市)におきまして、第45回 日本チャンキー協会通常総会を開催致しました。

総会冒頭、吉原洋明会長(日本ホワイトファーム㈱代表取締役社長)は、次のようにご挨拶致しました。
「昨年度を振り返ると、4月には熊本や大分で大きな震災がありました。その後も異常気象があり、全国各地で被害がありました。改めて被害を受けられました皆様にお見舞いを申し上げます。

秋以降では、我々に直接影響する高病原性鳥インフルエンザ(AI)が発生し、結果的に全国で12例、120万羽を超える家きんが殺処分されることになりました。
その後、調査等も行われましたが、川や池が近かった事や鶏舎設備にほころびがあり、小動物が侵入しやすい環境であった等、いろいろな原因を挙げられております。
これをやればよい、という対策がなかなか見つからない中で、今年度においては防疫という面では、大きな課題を残した形になっています。

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日本だけでなく、世界でもAIの確認がされており、日本のブロイラー産業はGP、PS含めて海外に依存している構造になっています。
そういった意味では、ヒナの供給に関して不安やリスクを抱えていたが、去年㈱日本チャンキーの働きかけによって、Aviagen社のイギリスの施設と日本政府の間でコンパートメント制度の適用がされて、ヒナの供給という面ではリスクが大きく下がったように思われます。
そんな中で今年度をスタートし、4・5月は非常に良い相場で来ており、このまま堅調に相場が続いていけばと思っています。

先程のAI対策であったり、人材確保が難航していることや、施設の老朽化等、いろいろな課題を各社は抱えているのではと思います。
疫病のことを考えると、我々の業界は11月から4月という冬の間は、なかなか情報が行き来することが制限される期間のため、5月から10月の半年間に、しっかりこの業界で知り合った仲間、その輪を広げて情報を共有して頂いて、課題の対策解決に繋げていければと思います。

前年度の会員皆様の表彰が予定されていますが、数字を見ると凄い数字が出てきています。
種鶏で言うと、HHEで215個、最近では220個を超えるHHEも実績として上がっています。HHEでは200個を超えて、HHCでは170羽を超えるという数字が出ています。
ブロイラーの日増体では70gを超えて、FCRは1.4台です。
日本のブロイラーがここまで発展してきたのは、育種改良の成果だと改めて感じました。
是非この協会を通じて、良い情報も悪い情報も素早く共有して、ますます日本のブロイラー産業が発展出来るように、と思います。
消費者の皆様も鶏肉嗜好が高まっていますので、高品質の商品をお客様の求める数量を、早急に供給出来るような体制を、皆様と作っていければと思います。
どうか、ご協力の程宜しくお願い致します。」

会長挨拶ののち、会長が議長となって各議案を審議、滞りなく可決されました。
また、会員・部会員の入会・交代については下記の通りです(敬称略)。

【新規入会】
 ・㈲中央食品加工
【名称変更】
 ・㈱協和孵卵場 → ㈱パートナーズチック
 ・㈱エビス商事 → ティケイ・エビス㈱
【役員・部会委員の異動】
 ・役員
  山下 保美(㈱ジャパンファーム) → 大久保 隆(㈱ジャパンファーム)
  森永 浩二(㈱日本チャンキー)  → 吉田 忠司(㈱日本チャンキー) *「吉」は「つちよし」
 ・種鶏孵卵部会
  前田 勇(㈱ウェルファムフーズ) → 窪田 義之(㈱ウェルファムフーズ)
  小野 公則(㈱イシイ)      → 平 稔(㈱イシイ)
  原口 洋一(㈱ジャパンファーム) → 湯元 稔(㈱ジャパンファーム)
 ・ブロイラー部会
  部会長:神田 謙一(住田フーズ㈱)→ 矢元 淳一(プライフーズ㈱)
  神田 謙一(住田フーズ㈱)    → 佐藤 充(住田フーズ㈱)
  山下 祐樹(㈱ジャパンファーム) → 岡本 清仁(㈱ジャパンファーム)
  木明 誠一(日本ホワイトファーム㈱)   → 戸高 操(日本ホワイトファーム㈱) *「高」は「はしごだか」
  冨谷 学(㈱ウェルファムフーズ) → 沖田 耕造(㈱ウェルファムフーズ)
 ・広報部会
  木澤 文宏(日清丸紅飼料㈱)   → 森田 慶一郎(日清丸紅飼料㈱)

今回の総会にて、優良会員として表彰された方々は、コチラに掲載させて頂きます(敬称略)。

表彰式のあと、㈱日本チャンキー・森川敦夫氏が、今回の実績についての総括と分析を紹介しました。

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最後に、㈱日本チャンキーの森永浩二社長が、
「鶏肉業界のこの一年を振り返りますと、日本国内含め、鳥インフルエンザの猛威が一昨年以上に世界的に広範囲に及んだ事が上げられます」から、
「日本の近隣諸国では、中国、韓国、台湾、特に韓国では数多くの野往生での発生事例が報告され、約3,800万羽の淘汰がなされました。
 その中で、日本国内でも12例の農場でも発生事例がありましたが、官民連携の迅速な対応によって、全ての事例で早期に防疫措置の完了、移動制限、搬出制限が解除されています。関係各位のご努力の結果で、日本国内では鳥インフルエンザの影響が各事例で近隣に蔓延することなく、最小限に抑えられたことに感謝申し上げたいと思います。
 他国と異なり、日本での鳥インフルエンザ発生時、迅速な対応が可能なのは、県からの要請に基づいて出動される自衛隊の方々の統率力並びに機動力のあるご尽力があって、はじめて出来ていることを忘れるわけには参りません」と、今回の記念講演の演者で、長年自衛隊に従事されていた番匠幸一郎氏をご紹介したのち、鳥インフルエンザに話題を戻し、
「従来の知見とは異なる最近の時期、場所を選ばない鳥インフルエンザの発生を見ますと、毎年、日本の鶏肉産業へのなにがしかの影響が避けられないというリスクを常に考慮しておかねばならない事を再認識した一年であったと思います。
 他方、鶏肉相場に目を転じますと、例年相場が軟化する年明け以降に相場がもちなおし、昨年と同様、鶏肉処理・販売に従事された会社は好決算だったと聞いております。
配合飼料の前年比価格低下の後押しがあったこともありますが、従来は不需要部位といわれた胸肉が、業界皆様の地道な努力の結果で、加工用途を筆頭に大幅にその需要が拡大した事が、鶏肉全体の相場を大きく押し上げています。胸肉相場の底上げで、国産の鶏肉処理・販売に従事されている会社の損益構造は、従前とは全く変わってきたといえます。
 他方で、長期的には2053年には1億人を割ると予想されてる日本の人口減少、老齢化、日本全体の胃袋の縮小が懸念されるところではありますが、農林水産省の魚介類の過去15年の日本人一人あたりの1年間消費量をみますと、2001年の69.2kgsをピークに年々減少を続けており、2015年では48.3kgsと、なんと一人あたり30%の魚介類消費量が減少していることが分かります。その減少分の一部が、価格の安い動物性タンパクとして、鶏肉に置き換わっていることがいえます。この魚介類消費の傾向が続く限り、暫くは鶏肉の一人あたりの消費量は、潜在的にもまだまだ伸びが期待出来るといえます。
 一方、これは今年の3月に農林水産政策研究所が明らかにした、今後10年間の世界の食糧需給見通しの中で、世界の鶏肉需給につき記述がありますが、基準年2013-2015年平均の、世界の必要鶏肉輸入量520万トンが、2026年には、なんと倍以上の1230万トンなるとの見通しです。
 その増加分の供給は、米国・ブラジルの増産で支えるとありますが、その需要の高まりから、この10年間で鶏肉の価格上昇は、豚肉、牛肉を上回るであろうとの予測がされています。世界的な需要の高まり、価格上昇、そして場所・時期を選ばず発生する鳥インフルエンザのリスクを考慮すれば、今まで同様にいつでも鶏肉を輸入出来る状態が継続しなくなる懸念があり、今まで以上に国産の鶏肉産業の位置づけが重要となってきます。
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 国産鶏肉の需要増傾向の中で、先のブラジルでの食肉不正事件、また今後の加工食品の原料原産地表示義務など、国産鶏肉を後押しする材料ばかりです。
 今年もブロイラー業界にとっては見通しが良いと思われますので、ブロイラー業界の全ての構成員が潤い、皆が健全な発展、継続的再生産が可能になる年となる事を心から祈念しています。
 日本チャンキーにおきましては、国産への需要が高まる中で、皆様のご要望に応じて安定して、そして継続して種鶏を供給させて頂くことが、これからも一番の使命です。

 この鶏肉需要の世界的な増加、そして原種鶏供給の米国、英国、欧州でAIが発生したこともあり、世界的なヒナ不足が生じていますが、日本チャンキーは世界で一番のシェアを誇るAVIAGEN社との強い連携のもと、またいち早く英国・日本の2国間でコンパートメント制度を実現させ、英国一般の施設からは輸入禁止であったこの3月、そしてこの5月にも、英国AVIAGEN施設からは滞りなく輸入を実施しています。日本チャンキーはいかなる状況においても、安定して、そして継続して種鶏を皆様に供給させて頂くことをお約束させて頂きます。

 先程、種鶏、並びにブロイラーの該当年度、生産成績の優秀な会員の方々へ表彰が行われました。毎年更新されているその成績を見ますと、チャンキー種のポテンシャル、またそれを引き出し、達成される皆様のご尽力には目を見張るものがあります。
 チャンキー種の性能改善もさることながら、その特性をご理解頂き、その性能・能力を充分に引き出して頂いている会員の皆様へ改めて御礼申し上げます。
 チャンキーの源であるAVIAGENでは、今後4-5年後(2021-2022年)までに、日本で餌付けされるチャンキーの種鶏、及びブロイラーの性能・成績が更に改善されることが、現在英国で飼育されているエリートストック、GGPSで既に実証されています。これは、AVIAGENが々血統の鶏を継続して、顧客の要望に基づき系統立てて育種改良をしているからこそ初めて可能であり、また精度の高い性能改善予測の裏付けとなっています。また、過去の予測値とその結果を見て頂ければ、日本チャンキーが自信をもって皆様にお話しを出来ることが十分お分かりになると思います。
 日本チャンキーも、Aviagenの取り組み、またチャンキー種の性能向上に見合うべく、社員スタッフの充実、サービスの改善努力でますます現場力を強化して参りますので、会員の皆様におかれましては、チャンキー種、日本チャンキー協会、日本チャンキーを引き続きご愛顧のほどお願い申し上げます」と挨拶しました。
 また最後に、6月16日の株主総会をもって5年間勤めた社長職を退任する旨をご報告しました。後任の吉田社長を紹介ののち、会員皆様のご健康とご発展を祈念し、通常総会を締めくくりました。

 通常総会終了後、丸紅㈱顧問の番匠幸一郎氏より「戦略環境と危機管理」について、AVIAGEN社のオラパン・チャンサワット氏より「AIVAGEN社からの報告」の2本立てで講演頂きました。
以上をもって通常総会の日程を無事終えました。