大変遅くなりました!下記の通りご報告致します。

去る平成14年10月13日(日)~平成14年10月21日(月)迄の9日間、当協会主催によるチャンキーミッションを行いました。
昨年はアメリカ行きを予定しておりましたが、あの傷ましい事件の為断念、今回より、「ロス・ミッション」から新たに「チャンキーミッション」と改名して心機一転、新たな畜産業界情報を得る為、英国へと旅立ちました。

23th_missionこちらでは、弊社ミッション参加者の報告をご紹介致します。ご参加下さった方々(敬称略・順不同)・・・
ご芳名 所属会社名
江口 庄三 株式会社 経済連総合食品
原 茂次郎       〃
諸岡 映生 株式会社 鶏鳴新聞社
小野 三千雄 株式会社 ジャパンファーム
高橋 芳典 第一ブロイラー 株式会社
中村 邦彦 有限会社 武雄種鶏孵化場
福江 二郎 有限会社 土橋ブロイラー
石崎 義徳 株式会社 福田種鶏場
吉田 明人 丸紅飼料 株式会社 南九州支店
香川 幹二 丸紅畜産 株式会社 岡山事業所
満尾 真一郎 丸紅畜産 株式会社 霧島事業所
田中 正 株式会社 森 孵卵場 岩手工場
高原 敏秀 株式会社 日本チャンキー 
中村 敏裕       〃
茂田 洋史       〃
荒木 俊一       〃
遠藤  雄 芙蓉航空サービス 株式会社

■ 10月13日(日) 空路 オランダへ
■ 10月14日(月) EPI社見学  
1)ラガウェイ孵化場内視察
ハッチテック社 T.メター取締役より、動孵化場の設備機器ならびに運用についての説明。
・入口、休憩室は各エリア毎(3ブロック)に分かれており、 シャワー設備完備。
・農場用種卵トレイは、紙トレイと農場用セットトレイの2種類があり、紙トレイは孵化場にてセット用トレイに入替。
1時間で9万卵、農場用トレイから孵化場用セットトレイにセット出来る。
・セッター1台当たり、57,600個入卵可能。
・7~8日令までセッターの扉は閉じたままで、セッター内の空気入れ換えは無く、湿度設定は30%にしている。
・実際は7日令には、種卵から出てきた水分によって、セッターの内部は61%になる。
23th_mission123th_mission223th_mission3
・貯卵温度=基本的には18℃だが、貯卵機関に応じ15℃に設定。
・発生期間;21日~22日間  高温・低湿度孵化、21日目に雛取り出しを行わず、1日間ハッチャー内に置く?
・雛の配送方法;チックバン内の高温37℃。低湿度で、社内を大型ファン(強風)によって強制空気循環させる。
・種卵にスタンプ印を押す事によって、採取農場が確認出来る。
・自動検卵および移卵機=6万卵/時
23th_mission423th_mission523th_mission6
・孵化場でのワクチン=NDスプレーのみ。月170万羽を発生。販売に際して、1%無料。
・契約農家からの種卵買取価格は受精に関係なく、17セント/卵

■ 10月14日(月)
2)ヤンセンポートリー エクイップメント社 訪問
・ヘインv.d.ウォープ氏より 養鶏機材(主に種鶏用自動集卵機)についての説明。
3)メーリッチ種鶏農場・契約農家訪問
・Cobb500を飼育 2棟立て 産卵専用農場
① 幅20m×奥行き 73m  9,000羽収容 51wks (1992年建設)
② 幅22m×奥行き 86m 11,000羽収容 51wks (1998年建設)
・飼育期間18wks~60wksまであり、育成鶏を購入する仕組みとなっている。
・次回より、RossのGPオペレーションを行う予定。原種鶏の委託飼育へ転向?

■ 10月15日(火)  
アムステルダムよりエジンバラへ移動…
エジンバラ郊外ダンデス城にて会食
出席者・エビアジェン社/ナイジェル・バートン社長  ボブ・ドビー営業担当役員
アルフォンス・カーハウス遺伝学者  デイビッド・バトラー氏  ジョン・パウリー氏
ツアー参加者全員
23th_mission1023th_mission11

■ 10月16日(水) エビアジェン社プレゼンテーション
・バートン氏・・・・・・来社歓迎の挨拶
・ドビー氏・・・・・・・・・エビアジェン社の概要と世界戦略および今後の動向
・カールフイス氏・・・バランス取れた素早い遺伝開発。ブロイラー、種鶏、処理、
消費者(顧客)、各段階での素早い対応とバランスの取れた遺伝学的進歩が要求されている。
・ケン・カークパトリック獣医・・主に英国内でのサルモネラ問題について概要説明。
23th_mission1223th_mission1323th_mission14

■ 10月17日(木) 
【 P.D.Hook孵化場およびPS農場~ブロイラー肥育農場 】
孵化場は2箇所あり オックスフォード 200万羽/週
今回訪問先   100万羽/週

1)ハリーウッド産卵農場 訪問 
同行:アンドリュー・ギブソン氏   ロバート・コックスワース氏
対応:デイビット農場長
23th_mission15

・2段式自動集卵ネスト・・・ネスト内に  (オランダ・ヘンコマティック社製)
・種鶏農場;育成4農場、成鶏8農場、各農場4万羽収容
・以前は総従業員90人で、各農場の採卵作業は手集卵であったが、
 1年半前より自動集卵機の導入によって、従業員数は半数の45人となっている。
 各成鶏農場ではピーク時の時の管理者5人体制で、50週令以降は3人となる。
・鶏群は19wksに育成農場から成鶏農場に移される。
・1日おきに、集卵用のトラックが孵化場から種卵を引き取りに来る。
 種卵の採取基準は50g以上。

【 プレミア・フレッシュ・フード社 】
2)CC農場訪問・・・鶏群29~32日令
・8棟   規模21,000m2   各棟4万羽飼育   全量メス飼育
・38日令~42日令出荷
・38日令小物 早出荷
・プレミア内で2.4百万羽/週 処理される。

午後より
P.D.Hook孵化場会議室にて、概要説明(主にトレーサビリティによる農場で品質管理の重要性)および質疑応答
①会社概要
・現TWO SISTERS FOOD GROOPの一つ=プレミアポートリーグループであり、ヒルズダウンホールディングの出資会社であったが、家禽生産処理会社への投資を専門とするBOPORAHAN HOLDINGに売却され、2シスターズフーズグループの一員となる。
・P.D.Hook孵化場も元々は同じプレミアグループであったが、それぞれ個別に売却された。
・英国・リンカーシャー州のスカンソープを拠点にチキンビジネスを展開中。
②トレーサビリティについて
・英国およびヨーロッパでは、消費者が、どのように鶏肉(食品全体に対して)が生産されているか、非常に関心を持ち始めている。
・生産・消費と両方の立場で『食の安全性』『生産家畜のウエルフェア問題』『生産物に対する追跡確認』等が重要視されている。
・鶏の飼育場のウエルフェアでは、脚の強度が一つの基準と見なされ、飼育密度の重要性が増している。
・プレミアフードの主な販売先であるTESCO(テスコ)など、英国内のスーパーマーケットは、仕入商品に大して独自の審査基準を設けており、3ヶ月に1度の割合で立ち入り検査に来社する。
・種鶏農場、孵化場、ブロイラー農場、処理加工場は入場検査を拒否出来ない仕組みになっており、自らのコード(規定・基準)を順守しているか、チェックが行われる。
・調査員はスーパーなどへ赴き、実際に商品(チキンミート)を購入し、表示シールやラベル上のバーコードの情報によって処理日やパック日時などを知る事が出来、また川上への追跡調査も容易となっている。
・EC諸国の処理場には個別の認識コードが割り振られており、商品のラベルシールのコード表示によって、どの処理場で処理されたのか判別出来る。

■ 10月18日(金)
【 フィブロセットフォード社 】
対応:ポール・アプス新事業開発担当役員
* ポール氏の経歴 * 英国海軍の電気技師の経験あり。
フィブロワット以前、カタールで三菱重工のプラント開発に携わる。

・10年程前、三菱銀行(現東京三菱銀行)の投資によって建設された。尚、現在は東京三菱銀行、スコットランド銀行、スイス連邦銀行の三行が出資している。
・フィブロワット社は英国内にセットフォードを含む3箇所に家畜排泄物による発電所を持っている。
・フィブロセットフォード:従業員=35人   土日は休業。
・1日に約25tトラック100台分の鶏糞が処理されている。
・現在は鶏糞をノーリッジ周辺の農家から買い取る形態を取っているが、4,5年先には農家がお金を支払って、鶏糞発電会社に引き取ってもらう形に変わるとの事。
・通常の鶏糞(敷料を含む)には、41%~45%の水分を含み、燃料としては非常に効率が悪いので、買取を行う際、鶏糞の含有水分量を45%以下という基準を設けている。
・鶏糞の引き取り価格は、鶏糞そのものの品質(含有水分量や含有成分のカルシウム量など)によって異なるとの事で、詳細な買取価格については明言はなかった。しかし、鶏糞にお金を支払っても、採算は取れているとの事。
・コスト内訳として、許認可までの諸費用、設計費(デザイン料)、開発費(建設費)、オペレーションコスト(運転費用)などが挙げられ、利益率を大きく左右する要因に、鶏糞を燃やす為の燃料費の価格変動の影響があるとの事。
・設立当時に電力の買取価格を高めに設定してもらった事により、採算性も維持出来ているとの事。
・企業や一般家庭に電力を供給するのではなく、民間の発電所によって作られた電力を専門に買い取る電力販売会社へ供給しているとの事。
・セットフォードでは38,500キロワットの電力を供給可能。
・鶏が(飼料などを)エネルギーとして、1ジュールを摂取した場合、半分の0.5ジュールを排泄している。
・単純計算だが、1羽のニワトリが1ワットの電力を作っていると同じ事であり、385,000キロワット=生きた385万羽のニワトリとなる、との事。
23th_mission1623th_mission1723th_mission18

■ 10月19日(土)
【 ロンドン市内視察および観光 】
①マーク&スペンサー(英国大手スーパー、衣料品等の販売もあり)
*オーガニック鶏肉  モモ肉 450g=2.00ポンド  100g=約88円
ムネ肉 265g=3.95ポンド  100g=約295円
その他、多種多様のカット、加工物が多く陳列され、価格帯も多彩。
上記は高級価格帯。
②セーフウェイ(郊外店舗方、店舗形態はテスコより大きくない)
*丸鶏(白)1.3Kg=4.69ポンド=約928円  100g=約62円
※肉の色で価格が異なる(黄色味がかった物あり)
モモ(ボトム骨付き)  800g=2.49ポンド  100g=約62円
モモ(スティック骨付き)700g=2.39ポンド  100g=約68円
ムネ肉(得売パック)  788g=5.99ポンド  100g=約150円 
( 換算レート £=¥197.86 )

■ 10月20日(日)~10月21日(月)
【 ヒースロー空港 ~ コペンハーゲン ~ 成田空港・帰国 】

23th_mission1923th_mission20