【飼料セミナーを東京で開催致しました】
 日時:2014年2月26日(水)
場所:エッサム神田ホール

2014年2月26日(水)、エッサム神田ホール(東京都千代田区神田)に於いて飼料セミナーを開催致しました。
飼料メーカーを対象に実施し、全国から17社、総勢56名が参加されました。
DSCN0083DSCN0070セミナー開催に先立ち、弊社・森永社長は「本日は皆様ご多用の中、多数ご参加頂き大変ありがとうございます。また、平素から飼料の生産、ご提供を通じまして、チャンキー種に絶大なるご協力を頂いております事、厚く御礼申し上げます。
本日はご案内させて頂いている通り、配合飼料をご提供頂いている方にこのセミナーを通じまして、性能が毎年改善しているチャンキー種の種鶏・ブロイラー性能を十二分にご理解頂き、性能を引き出して頂く為に、この様なセミナーを開催させて頂きました。
この主旨をご理解頂き、実践して頂ければ、皆様の対面業界である養鶏業者の方の農場成績が向上することになり、引いては、有形無形で皆様に貢献することになると思います。」
と述べた後、鶏肉需要に関する内外の2つのレポートを紹介しました。
1つ目は数年前に発表された、世界有数の金融サービス会社であるモルガン・スタンレーのレポート。鶏生産についての飼料効率が他の食肉に対して非常に優位であるということに焦点をあてており、今後の世界的人口増加等で、食肉需要の急速な増加が見込まれる一方、飼料用穀物の栽培可能面積は人口増加や水不足などにより限定され、また、途上国での都市部の人口集中は、農業に従事する人口の比率の低下をもたらしている。穀物の単位収量の伸びを見込んでも、飼料穀物生産の増加には限界があり、急増する食肉需要を賄う為に、飼料効率の良い鶏肉の生産需要が増えてくるというものです。世界の人口は約72億人と言われており、2030年に83億人、2050年に90億人と推定している。また、現在推定で世界の人口の約半分が都市部に住んでいるが、2030年度には6割になると言われており、2030年には動物性タンパクの需要が約45%アップし、その内6割が鶏肉になるだろうという推定です。このレポートでは鶏肉生産は飼料効率の優位性だけではなく、生産時の必要な水量が非常に効率的であり、生産時に発生する二酸化炭素などの環境負荷が非常に少なく、また、宗教による制限がなく、非常に加工しやすく、廃棄物も少ないため、多くの優位性があるというもの。
もう1つは、農林水産政策研究所が毎年10年後の食料需給の見通しを出しており、昨年3月に出された「2022年における世界の食糧需給見通し」の内容。鶏肉の2022年予測として、純輸出地域は北米、中南米だけになり、他は全て純輸入地域になる。特にアジア、中東では、消費が生産を大きく上回り、純輸入量の拡大が大変著しい。現在でも全世界での鶏肉全生産量は約8,000万tと言われていますが、その貿易量は10%にすぎず、非常に少ない。今後は鶏肉需要が全世界的に増加するに従って、貿易量、絶対量も増加すると期待されるが、現在日本向けに鶏肉調整品を大量に輸出している中国が、純輸入国に転換する。そういう報告から、今後は限定される輸出先に対する買付競争が激化することが予測され、現行の生肉輸出国であっても、AI発生の可能性も否定はできません。輸入したくても買うことができないという状況が予想される。他でも、既に水産物については10年以上前から、同じ畜産物でも、昨年度は牛肉で買い負けているという状況が起きている。世界的に需要が高まる鶏肉に関しても、近い将来同様の事が起きる可能性が十分にあるのではないかと思っています。現在、日本国内では人口減少に転じていますが、その中でも鶏肉需要は着実に増えてきている、というものです。
そして、「今後の鶏肉需要を安定して賄うためにも、国内の鶏肉産業の基盤をさらに強化するということが非常に重要になってくると思います。皆様方におかれましても、日本の国内鶏肉産業強化のために、それぞれの立場で、今まで以上に絶大なるご協力を頂き、さらに、農場の生産効率を高めて、日本の鶏肉産業を支えて頂きたいと思います。
最後になりますが、本日のセミナーが皆様に対しまして有益になりますこと、そして皆様方のそれぞれのご発展を祈念致しまして、挨拶とさせて頂きます。」と挨拶した。

DSCN0078Aviagen社の家禽栄養学者Alex Chang氏による講演要旨は以下の通り。
第1部は、「ブロイラー種鶏成績を最高にするための最適栄養-産卵、卵殻質&受精率」という題目で講演しました。
まず、種鶏成績を考えた場合、育成期に良い鶏群をつくることが必要であると述べました。
良質なスターター飼料を使用するのはもちろんのこと、トリの栄養要求変化に伴い2013年種鶏栄養スペックでは可消化アミノ酸比率をステージ毎に変更していることを説明しました。更に鶏群の揃いによってはMEレベルを下げたグロワーの使用、それに伴うプレブリーダーの必要性についても述べました。
次に生産期の課題として、タンパク質・アミノ酸に対する反応が良く、高タンパク低エネルギー下では、メスは肉付過剰になると共に脂肪蓄積が不十分となり、産卵持続性に問題が起こる。持続性低下により、大卵となり卵殻質が低下し、孵化率にまで影響を及ぼす。更に、アミノ酸が不均衡であれば、羽毛喪失の要因となる。またこれらの背景をもとに、生産期のフェーズフィーディングの考え方について説明しました。
そして、受精率改善を目的としたオス専用飼料について、粗タンパク、カルシウム、ビタミンE、セレン等の考え方や、精液性状と受精率持続に不飽和脂肪酸が有益だと説明しました。
まとめとして栄養不足にさせないこと、そして過剰な粗タンパクを避けることを強調しました。

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第2部は、「ブロイラー栄養の最新知見」という題目で、講演しました。
遺伝的改良によって、継続的に改善が進んでいる現在のロス308をモダンブロイラーと称し、その生理的要求を満たすために必要な栄養面でのアプローチについて説明しました。
まず飼料設計において、アミノ酸の総量ではなく「可消化アミノ酸ベース」で配合することが必要であり、粗タンパクではなくバランス可消化アミノ酸が配合上重要であることについて述べました。また、生理的発育を考慮した場合、初期7日間の発育が重要であるため、バランスのとれた推奨値以上のアミノ酸レベルを備えたプレスターター飼料を給与することも薦めました。
更に、世界的に使用されているペレット飼料について、マッシュ飼料に比べ有益であると試算表を用いて説明しました。その他、飼料原料による菜食行動や腸管での消化率改善に与える効果や、原料の粒度による影響の違いを述べました。また、飼料用酵素や添加剤についても紹介がありました。

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DSCN0088講演終了後、弊社・山崎営業部長が日頃のお礼を述べた後「最近のブロイラー成績には非常に驚かされる。先日も生産指数435点、FCRが1.628との成績を聞かされました。FCR1.7台を目指していたのに、一足跳びに1.6台に突入してきた。これは育種改良に加えて飼料会社各社の飼料栄養に対する対応の賜物と深く感謝申し上げたい。このセミナーの報告にあったようにチャンキーはまだまだ改良が進みます。このセミナーが皆さんの飼料栄養設計の一助となることを願っております。」と挨拶しセミナーの全日程を終了致しました。